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中国人工知能(AI)ユニコーン企業「4Paradigm(第四範式)」が香港上場のための手続きを開始した。中国証券監督管理委員会は7月29日、同社が香港における新規株式公開の審査批准に関わる書類を提出したことを明らかにした。書類が受理された場合、早ければ今月末にも目論見書を提出することになる。
資金調達11回、著名投資機関がこぞって出資
4Paradigm創業者の戴文淵CEOは昨年8月、中国のハイテク企業向け市場「科創板」への上場を模索していると語っていた。
「具体的な時期は未定だが、すでに予定には入れている。科創板への上場準備には少なくとも6カ月かかるため、仮に今すぐ着手しても2021年上半期になるだろう」
当初の予定とは異なるマーケットへの上場だが、この言葉の通りついに動き出したことになる。
これ以前から、同社は資本市場で大きな期待を背負ってきた。資金調達は11回に上り、評価額はすでに100億元(約1700億円)を超えている。
2015年のエンジェルラウンド以来、同社はセコイア・キャピタル・チャイナ、テンセント、ゴールドマン・サックスなど国内外の名だたる投資機関数十社から出資を受けてきた。今年初めにはシリーズDで、2020年以降AI分野で最高額となる7億ドル(約760億円)を調達している。しかも中国のスタートアップとして初めて、中国の五大国有銀行からの資金調達に成功した。
現在の筆頭株主は株式の26.54%を保有する戴CEOだ。
公式情報によれば、戴CEOは上海交通大学出身で、転移学習分野の論文では世界第2位の被引用数を誇る。かつては百度(バイドゥ)で機械学習分野のリーダーとして、検索エンジンの関連検索ワードやAIプラットフォーム「百度大脳(Baidu Brain)」などさまざまなプロジェクトを指揮してきた。4Paradigmを設立したのは2014年末のことだ。
金融業、小売業から製造業へ勢力拡大
4ParadigmはAIを活用することで従来型産業のデジタルトランスメーション(DX)を後押ししている。金融業では、中国の銀行の大部分が同社のリスク管理システムやレコメンドシステムなどのインテリジェントサービスを導入している。
設立から7年で、事業範囲はメインの金融業だけでなく、小売業、製造業、エネルギー、行政、医療など多様な業種に拡大してきた。
業種ごとの売上高比率では、設立当初から事業展開してきた金融業が50%弱を占めているほか、ニューリテールや製造業の割合が急増している。金融業の比率は縮小しているものの、絶対数としては依然として増加を続けているという。
特に2020年の新型コロナウイルス拡大時は、多くの顧客にAIを中核とした運営能力を提供し、オンライン業務へのシフトを後押しした。
事業の拡大を支えるのは製品の技術力だ。現在、4Paradigmには演算能力からオペレーティングシステム、生産プラットフォーム、業務システムまでフルスタックのAI製品ラインナップがそろっている。
昨年8月には世界初となるAIのオペレーティングシステム「Sage AIOS」を始め、AI生成プラットフォーム「Sage HyperCycle ML」、オンライン運営システム「天枢」、AI演算プラットフォーム「Sage One」などの製品を発表した。
AIOSは今年6月にバージョン2.0の大型アップデートを行い、コアコンポーネントをオープンソース化したほか、AI版のアプリストアもリリースした。
少し前には、車載電池の世界最大手「CATL(寧徳時代)」と大口の契約を取り付けた。公式発表によると、両社は戦略提携を結び、SageAIOSのAI応用と管理能力を基盤として、AIによる意志決定能力をCATLの製造過程に導入し、共同でスマート製造へのシフトを推進していくとしている。
4Paradigmにとって今回のCATLとの提携は、金融業、医療、小売業への進出に続く、新たなマイルストーンとなるものだ。IPOを目前に、「AI for Everyone(全ての人のためのAI)」という同社の使命がよりはっきりと示されることになるだろう。
作者:量子位(WeChat ID:QbitAI)、楊浄
(翻訳・畠中裕子)
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