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物流テック子会社の設立と、複数の物流企業への投資。TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が物流分野での成長方式として採るのは「社内インキュベーション(事業創出支援)」+「投資」の2本柱だ。
バイトダンスは8月末、物流テックを手がける子会社を設立した。事業内容は通関貨物の倉庫保管、インターネット情報サービス、サプライチェーン管理業務などだ。
子会社設立前もバイトダンスは多数の物流関連企業に投資してきた。EC事業者向けに国際物流を手掛ける「縦騰集団(ZongTeng Group)やAMR(自律走行ロボット)のソフトウェア、ハードウェアなどを手がける「炬星科技(Syrius Robotics)」、このほか「迦智科技(IPLUS MOBOT」、「未来機器人(VisionNav Robotics)」なども出資を受けている。
送り状の電子化、倉庫、国際物流、サプライチェーン、物流テックなど、バイトダンスは長い時間をかけて物流分野のエコシステムの基盤を固めてきた。
同社関係者は、36Kr傘下のメディア「Tech星球」の取材に対し「バイトダンスの物流業務はアリババ傘下の物流会社『菜鳥(CAINIAO)』のようなプラットフォーム型の事業になると考えていい』と語っている。
抖音(Douyin、TikTokの中国版)が運営するECプラットフォーム利用者は、買い物体験はアリババのECタオバオ(淘宝網)と遜色ないと話す。生鮮食品をオーダーすると翌日には届き、それ以外の商品は3~4日で届く。配達スタッフがユーザーの自宅に到着した際、電話やメールでの通知なしに無断で玄関前に商品を置きっぱなしにするという欠点まで共通しているという。
バイトダンスのエンジニアによると、抖音がEC物流のベンチマークとしているのは菜鳥で、業務内容も菜鳥に似せているという。アリババは菜鳥を「未来物流の頭脳」と位置付けており、物流の根本的な構造とネットワークの骨組みを構築する使命を持たせている。「それぞれの倉庫や配送業者、物流業者をつなぎ、全国、全世界の物流ネットワークをつなげることが菜鳥の目的だ」。バイトダンスのエンジニアはこう分析する。
物流業界に詳しい李文氏は「菜鳥はデータ分析、AIなどの技術で商品の流れを予測する。例えば、中国で年間最大のネットショッピングイベント『双11(ダブルイレブン)』では、事前に売れ筋商品の動きを予測し、ユーザーに最寄りの倉庫に商品を配備しておく。売り手と買い手の双方にベストな導線を提供するスマートソリューションだ」と説明する。アリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」は、2020年のダブルイレブンで受注した商品の配達を、前年より24時間早く完了させた。
物流プラットフォーム企業の年間売上高は一般的に400億元(約6800億円)ほどの規模になる。アリババが8月初旬に公表した2021年第2四半期(4〜6月)の財務報告では、菜鳥の売上高は前年同期比50%増の116億元(約2000億円)を実現。菜鳥の宅配アプリ「菜鳥裹裹(CAINIAO GUOGUO)」の受注数は63%の伸びとなった。ただ、忘れてはならないのは菜鳥の急成長には大きな赤字が伴う点だ。
菜鳥はアリババの主要事業であるEC事業に貢献するという使命を背負い、莫大な費用をかけてスマート物流の基幹ネットワークを建設したが、菜鳥自体は利益が出る見通しが立っていない。抖音のEC事業は成長中ではあるが、バイトダンスが物流規模や業務拡大に相応の覚悟を決めているかは、今後を見定める必要がある。
(翻訳・Qiunai)
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