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建物の全ライフサイクルに対応した可視化・スマート化ソリューションを手がける「以見科技(Onesight)」がこのほど、シリーズAで1000万ドル(約11億円)近くの資金を調達した。出資を主導したマトリックス・パートナーズ・チャイナ(経緯創投)のほか、住友商事グループのCVC「Sumitomo Corporation Equity Asia」などが出資に加わった。
2018年に創業した以見科技は、三次元モデルで建物の設計から維持管理までを行う「BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」をベースにした管理の可視化ソリューションやソフトウエアサービスを提供しており、SaaS製品「一見AR」やハード機器、多元的なサービス体系を構築してきた。サービスの中核となっているのはAR(拡張現実)やAIなどを活用してBIMデータを実景に重ね合わせる技術で、BIMを基盤とした施工段階のデータ連携や進捗に応じた品質管理のほか、維持管理を可視化するプラットフォームやプランを手がけている。
建設業界からのニーズと政策の後押しにより、この10年でBIMの普及率は大幅に上昇してきた。以見科技の羅鋒CEOは、建設業のDX(デジタルトランスフォーメーション)は2つの課題を抱えていると指摘する。一つは、従来のSaaS製品のほとんどが設計や維持管理にフォーカスしており、その中間に位置する施工段階でのBIMデータの活用が大きく遅れていること。もう一つは、施工BIMから維持管理BIMに移行した後にデータの正確性が落ち、維持管理のスマート化が進まないことだ。
以見科技はBIM活用のクローズドループ(自律的な循環体制)を作り上げるため、SaaS化が最も遅れている施工段階に焦点を絞った。施工における検査や検収の場面にARとAI技術を取り入れ、建設現場とBIMモデルとの相違点を分析して合理的なフィードバックを得られるようにした。建設現場ではBIMモデルのデータを利用して品質管理をサポートできるうえ、フィードバックを反映しながら完成したBIMモデルはより正確で、後に続く維持管理も行いやすくなる。これまでBIMの活用は設計段階に集中していたが、同社は機能的なソフトウエアの開発を通じて施工や維持管理におけるデータ活用の問題を解決したいと考えている。
同社の開発したSaaS製品「一見AR」シリーズは設計、施工、維持管理、スマートシティなどの各段階に対応しており、活用分野は主に4つある。一つ目はBIMとARを活用して関係各所に複雑な建設現場の詳細を知らせること。二つ目はBIMとARを使って現場で施工の検証を行い、工事品質を監督すること。三つ目は工事データをトレースできるようにすること。四つ目は継続的な維持管理だ。
競合製品の多くが建築士向けに作られているのに対し、以見科技は施工段階に特化したサービスに注力している。さらにBIMデータを建物のライフサイクル全体で活用し、設計から施工、維持管理に至るまでの全プロセスをつないでBIM通りの完成を支援することに重点を置いている。
主な収益源はSaaS製品の利用料、プロジェクトのオーダーメイド開発、BIMコンサルティングの3分野となっている。SaaS製品は利用時間ではなく、プロジェクトの面積に応じた段階制料金を採用している。この料金体系なら一括して建築予算に組み込める上、顧客企業のビジネスモデルにもマッチする。またサービスを利用するアカウント数に制限を設けていないため、プロジェクト実施側も積極的に使用でき、双方にとってメリットが大きい。
同社は2021年8月時点で中国本土や香港、日本、シンガポールなどの大手建設会社のプロジェクト300件以上にサービスを提供しており、国内でも商業・工業用不動産建設の企業や大手施工会社と取引を行っている。
(翻訳・畠中裕子)
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