スマートホーム向けIoT機器の「Aqara」が約180億円を調達、シャオミなど大手と提携

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スマートホーム向けIoT機器開発の「緑米聯創科技(Aqara)」がシリーズCで10億元(約180億円)を調達した。今回は「深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」、「愉悦資本(Joy Capital)」、「中国電信(チャイナテレコム)」、「景林資産(Greenwoods Asset Management)」などが出資している。

調達資金は製品の開発およびイノベーション、グローバルなチャネルの構築、ブランドの確立、人材採用の強化に充てられる。今回の資金調達によって、緑米聯創科技の評価額は10億ドル(約1100億円)を超えた。

創業者の遊延筠氏は、「当社は中国が進めるデジタル経済の発展政策に沿ったデジタル化、スマート化、ネットワーク化の関連事業を展開している。人類が生み出すエネルギーの40%が建物で消費されているというデータがある中、建物のスマート化は20~40%の省エネにつながり、政府が目指す環境保護、省エネ・排出削減、カーボンニュートラルに貢献する。当社はTMT(テクノロジー、メディア、通信)、ニューリテール、ヘルスケアの分野にも関わっている」と説明した。

ワイヤレスなビル管理システムの開発を手掛けていた同社は2014年、エンジェルラウンドの出資者となったシャオミ(小米科技)のエコシステムに加わり、一般消費者向けの人感センサー、ドア・窓センサー、スマートゲートウェイなどを発売、1年以内に販売台数が100万台を超えた。2016年には「Aqara」ブランドを立ち上げ、スマートホーム向け機器の開発にとどまらず、スマートホーム全体のソリューションへと事業を広げている。

緑米聯創科技の創業者、遊延筠氏

スマートホームに対する同社のアプローチは他社と違う。業界ではスマートホームの「エントランス」論がまとまっておらず、スマートホームの操作を行う入り口をスマホにする企業、スマートスピーカーやスマートパネルにする企業など各社で異なるのが現状だ。

「エントランス」が各社で異なると、ユーザーはそれぞれの操作に慣れる必要がある。これはユーザー体験に影響を及ぼし、スマート化の目的にも沿わない。遊氏は「エントランス論は却ってユーザーのインタラクションを制限する。スマートホームのエントランスは存在せず、人と建物のインタラクションは自然で場所を問わないものでなければならない」と考えている。

Aqaraは人とスマートホームが共存するスマートホーム体験を目指している。実現には十分な数のセンサーやコントローラーなどスマート機器が生み出す連携効果が必要だ。

これまでに同社は、ゲートウェイ、コントローラー、センサー、照明、ドアロックなど30以上のカテゴリーで500種類以上の機器を発売してきた。これらの機器が環境と人のリアルタイムデータを収集し、AIやデータ処理アルゴリズムを通じて、よりユーザーに寄り添ったスマートホームを実現する。

Aqaraの製品

AqaraはシャオミのIoT家電ブランド「米家(MIJIA)」の他に、「Apple HomeKit」「Google Assistant」「Amazon Alexa」など大手企業によるスマートホームのエコシステムと提携している。特にApple HomeKitに対応するAqaraの機器は200種類を超え、中国では対応機器が最も多いブランドとなっている。

政府系シンクタンク「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」によると、中国のスマートホーム市場の規模は2016年の2609億元(約4兆7000億円)から2020年の5145億元(約9兆2000億円)へと倍増し、年内には5801億元(約10兆4000億円)ほどになる見込み。中国は2019年末に世界最大のスマートホーム消費市場となり、世界全体に占める割合は50~60%に上る。

スマートホームの発展によってユーザー体験の要求も高まる中、Aqaraは販売チャネルを従来の代理店販売から変更している。中国で2017年から増やしているスマートホーム体験型店舗「Aqara Home」は600店以上に上り、490以上の都市・地域に進出。マンション、ホテル、オフィス、介護施設などの企業向けサービスも展開している。

遊氏は「当社は今後もIoT技術の開発をリードし、より多くのユーザーに世界トップレベルのソリューションを提供することで、スマートホームに触れる人を増やしたい。また、同社の高度な技術と製品を通じて多くの産業に力を与え、カーボンニュートラルの目標達成を推進していきしたい」としている。

同社の従業員は現在1000人を超える。人工知能、ビッグデータ、アプリ、クラウドプラットフォームなどに携わる研究開発人員が50%以上を占めている。遊氏は自動化・制御技術分野の科学者として、同社が策定した計224件の特許立案に参画している。
(翻訳・神戸三四郎)

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