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中国IT企業御三家「BAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)」がクラウド事業を重要事業に位置付けたようだ。
12月18日、バイドゥの李彦宏(ロビン・リー)CEOが同社の組織改革について発表した。同社のクラウド事業が掲げる「ABC(AI、ビッグデータ、クラウドコンピューティングの一体化)」戦略をさらに重視していくとともに、従来のスマートクラウド事業ユニット(ACU)をスマートクラウド事業グループ(ACG)と改称し、企業向けAIとクラウド事業を統括していくという。
これらは、クラウド事業の位置付けを上げて、同事業にさらに注力していく方針の表れだろう。同社のクラウド事業は、アリババやテンセントに遅れる形で2015年にスタートした。アマゾンのAWSやマイクロソフトのMicrosoft Azureのように、クラウド事業そのもので勝負するというよりも、「All in AI」を軸に、同社が重視するAIや自動運転事業を支援し、産業とAIを融合させるサービスとして機能させていくようだ。
9月に開催された「百度雲智峰会(バイドゥABCサミット)」での張亜勤総裁の報告によると、同社のクラウドサービス「百度雲(バイドゥユン)」のユーザー数は前年比3倍、トラフィックは同5倍、収益は同4倍に成長したという。
一方のテンセントは、クラウドコンピューティング事業に対して大きな野心を抱いているようだ。同社は今年9月、設立以来3回目となる大がかりな組織改革を行った。クラウド・スマート産業事業グループ(CSIG)を新設し、テンセントクラウド(騰訊雲)をはじめ、スマートリテールや地図サービス、セキュリティサービスなどの法人向け事業を同部門に集約した。また、テンセントクラウドに従事する従業員を3000人から7000人に増員した。
2013年にスタートしたテンセントのクラウド事業は、2016年に中国国内市場で7.34%のシェアを獲得。IT専門調査会社IDCによると、2017年には中国国内パブリッククラウド(laaS)市場で10.3%、2018年前半には11%と、市場で第2位のシェアを占めるまでに成長した。同社の今年第3四半期決算ではクラウドコンピューティング事業の売上高が初めて報告され、60億元(約960億円)以上に上ることがわかった。3四半期連続で前年同期比100%超の成長を続けている。
消費者向けインターネットから産業向けインターネットへの転換において、クラウドコンピューティング事業は絶好の足がかりだ。頭打ちを迎えつつあるSNSやゲームに替わる新たな成長の可能性を見出すきっかけになるだろう。
世界の三大クラウドサービスに上り詰めたアリババクラウド(阿里雲)は、中国国内のパブリッククラウド市場でシェア43%とほぼ独り勝ち状態だ。11月に発表された組織改革は、この事業基盤をさらに堅固にするための戦略とみられる。従来のアリババクラウド事業グループをアリババクラウドインテリジェンス事業グループと改称し、張建峰CTOが統括する。
今後数年間は急速な成長が続き、数兆元(数十兆円)規模になると言われているクラウドコンピューティング市場において、BATの3社ともクラウド事業に注力する体制を敷いたことになる。
今後の市場競争について、「金山雲(Kingsoft Cloud)」の王育林CEOは「必ずしも競争激化にはつながらない」と考える。「例えば、多くの企業が口々に『これからはスマートシティの時代だ』と叫んでも、プレーヤー同士の競争が激化するわけではない。行政、医療、交通など多くの分野に渡るため、各社が着手する分野は異なる。また、産業構造の変革は長期的なプロセスになるので、1社がすべてを独占する状況にはならない。多くの企業が一丸となっても全体を変革するには至らず、さらに新たな企業が参入する必要が出てくるだろう」と述べた。
(翻訳・愛玉)
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