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ビッグデータ分析サービスを提供する「神策数拠(SENSORS Data、センサーズデータ)」がこのほど、シリーズDで2億ドル(約256億円)を調達した。タイガーグローバルとカーライル・グループが出資を主導し、明勢資本(FutureCapital)、DCMベンチャーズ、線性資本(Linear Capital)、セコイア・キャピタル・チャイナ、ウォーバーグ・ピンカス、ベッセマー・ベンチャーズ、M31資本などが参加した。
2015年に設立された神策数拠は当初、中小企業向けにユーザー行動を詳細に分析するためのソリューションを提供していた。当時は「ひとつを極める」という戦略を採用、どの業界に対しても標準化したサービスを提供し、クライアントに合わせたコードの書き換えなどは一切行わず、サブスクリプション方式にこだわった。
その後の数年は、ターゲット顧客を中・大規模企業やグループ企業にシフトさせていく。それまで提供していた唯一のサービス「Sensors Analytics(神策分析)」は、ユーザーの行動データの収集と効果的なデータ管理を行う「Sensors Data Platform(神策数拠基礎平台)」となり、それを基盤としたユーザープロファイル、スマート運営、スマートレコメンド、全ライフサイクルデータ分析という4つのサービスが加わった。
そして新型コロナウイルス感染症の大流行でさらなる変化が生じる。それまで神策数拠の顧客は主に、デジタルトランスフォーメーション(DX)をいち早く導入したIT分野のスタートアップ企業だった。それがコロナ禍によって、多くの従来型企業も続々とDXに踏み切るようになる。神策数拠がターゲットとする顧客および市場は、IT分野から従来型産業へと広がっていった。これに伴い、同社のサービスやビジネスモデルも新たな取り組みを迫られるようになる。
神策数拠はこの2年ほどで、これまで主力としてきたバックエンドのデータ分析から、フロントエンドのマーケティングへと事業範囲を拡大してきた。マーケティングに特化した新サービス「Sensors Marketing Cloud(神策営銷雲)」を打ち出し、基盤となるデータプラットフォームをベースにデータ分析クラウドとマーケティングクラウドを提供するサービス体系へとアップグレードした。
神策数拠の桑文鋒CEOは、これまでの同社の事業は、企業がデータを知覚し、意思決定を行い、フィードバックを得られるようサポートすることに主眼を置いていたと説明する。しかし顧客層は変化しており、大口顧客はより実用的なサービスを必要としているのだという。
言い換えると、単に標準化されたサービスを提供するだけでなく、そのサービスを十分活用できるようサポートすることが重要であり、大口顧客はまさにこのようなサポートを必要としているのだ。こうして神策数拠は、それまでのプラットフォーム・クラウド提供企業から、サポートサービスまで手がける企業へと転身を始めた。
具体的には、大口顧客がサービスを活用してユーザーの行動データを収集し、滞在時間や成約率、流出などを分析できるようにサポートする。マーケティングの面では、会員制度やWeChatエコシステム、外部ECチャネルなどに対応した運営サービスを提供する。例えば、ABテストなどのツールを使ってチャネルの効果性を分析し、それに応じた戦略を立てられるよう支援を行うなどだ。
2022年には業種ごとに「運営ユニット」を設けるという組織構造の新たな試みを開始した。
「これまではサポートサービスのために際限なく資金を投じていたが、それでは健全なビジネスモデルを続けていけないことは明らかだった。そこでソフトウエア開発大手SAPなどに学び、ユニット制の導入を決めた。販売、ソリューション、納入などを担当するスタッフがチームを組んで特定の業種のみを担当することで、サポートサービスの標準化を進めていくことができる」と桑CEOは語る。
現在の神策数拠には、標準化されたプラットフォームに加え、戦略的顧客にカスタマイズサービスを提供する開発チームも備わっている。これまでに30以上の分野に及ぶ大手企業2000社以上が同社のサービスを導入しているという。
(翻訳・畠中裕子)
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