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2018年、配車・ライドシェア業界に警鐘が鳴った。中国の配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」が提供するライドシェアサービスにおいて、2回の殺人事件が起き、2名の乗客の命が運転手によって奪われた。これを受けて、中国国内では配車・ライドシェアビジネスの運転手のモラルに疑問の声が上がっており、今後、業界全体にまで影響を与えかねない。
配車・ライドシェアサービスに対して、政府の新規制が施行されてから2年あまり経つが、効果はほとんどなく、今も多くの違法ドライバーが見受けられる。2019年、業界全体を網羅する、これまでにない厳格な法規制が発表された。
法規制と安全対策が、この業界参入のハードルを上げているが、この業界で生き残り、利益を得たい会社にとって、避けて通れないことだ。
配車・ライドシェア業界には、なお無限の可能性が潜むため生き残ることを望むのなら、時機を逸してはならない。
規制強化と「法令順守」に代わる可能性も
2016年10月に新規制が発表されて以降、「法令順守」はこの業界に携わる全ての人々にとって必須事項となった。しかし規制に従うことが、生死を決めるラインとしてこれほどの重要性を持つのは初めてだ。
違法ドライバーを完全に排除するのは難しい。とはいえ、今や滴滴ドライバーにとって法令順守は至上命題である。
2018年5月までに全国338の行政地区うち、200か所でオンライン予約タクシー管理法が発表され、配車・ライドシェアサービスの基本的な管理規範が体系化された。しかし、タクシーを拾いにくい状況の改善にはなおかなりの時間がかかりそうだ。
滴滴、「美団(Meituan)」、自動車メーカーによる異業種の参入
法規制の整備に伴い、新たなチャンスも生まれる。国有企業や政府の支援を受ける会社は、この機会に縄張りや影響力を拡大することができる。また、各地の自動車メーカーも車両製造やナンバープレート保有という強みを生かして新規参入すれば、群雄割拠の時代となるだろう。
滴滴等のトップ企業にとって最も警戒すべきライバルはBMWや上海汽車(SAIC)といった自動車メーカーなのかもしれない。調査によれば、2017年中国の配車・ライドシェア業界の市場規模は150億ドル(約1兆6500億円)を超える。不安定な自動車販売の伸び率と比べ、配車・ライドシェアの市場規模は今後数年間は、毎年33%の勢いで成長し、2025年には2010億ドル(約22兆1100億円)、2030年には6560億ドル(約72兆1600億円)に達すると予想されている。
これは、今後自動車メーカーが単なる「製造業」ではなく「サービス業」となることを意味する。2030年、世界の自動車市場では、利益の30%は配車・ライドシェアサービスが生み出し、新車販売による利益はわずか26%となる見込みだ。
また、今後はNEV(新エネルギー車)の存在感が徐々に高まり、この市場の主力となると考えられる。これは単純に多くのメーカーがNEVの生産へ舵を切っているからではない。NEVはガソリン車と比べ、購入制限や走行制限がなく、補助金制度があり、ナンバープレートも手に入りやすい。BMW、メルセデスベンツ、フォルクスワーゲン、フォード、ホンダ等は、期待できる配車・ライドシェアサービスへの参入を進めている。
これらの企業には、製造メーカーならではの強みがある。サービスに使う車が足りなくなる心配はなく、リースの手続きも必要ない。
2019年の展望
多くの自動車メーカーがIT企業と提携して自動運転の応用化を目指す中、配車・ライドシェアアプリ企業も自動運転分野への参入を迫られている。自動運転は必要だが、実現するのは簡単ではないのだ。
2019年の配車・ライドシェア市場はどうなるのか。滴滴出行シニア・バイス・プレジデント兼「滴滴網約車」CEOの付強氏、首汽約車(Shouqi Limousine & Chauffeur)CEO魏東氏、美団単車(元Mobike)役員、華興資本(China Renaissance)の牛暁毅氏に展望を聞いた。
滴滴出行SVP兼「滴滴網約車」CEOの 付強氏
2018年は困難に立ち向かう一年だった。「安全」は交通業界にとって最も大切な要素で、今や業界全体が共に目を向けなければならない重大な課題である。
2019年、滴滴は「顧客満足の追求」という理念を守りながら、より良い顧客体験の提供ときめ細やかな運営を目指す。乗客とドライバーをどちらも重視し、サービスを細分化する。顧客の多様なニーズに対応したい。
首汽約車CEO 魏東氏
秩序ある競争が増えることは良いことだ。業界全体の発展にとっても、新しい風が吹くことになるだろう。
2019年、業界全体はますます面白くなる。業界の再編はチャンスを伴い、新しい企業も頭角を現すだろう。業界の規範化が進み、政府の規制も厳しくなれば、あらゆる企業はビジネスの原点に立ち返る必要に迫られる。首汽約車が高品質配車・ライドシェア業界のトップブランドとして成長することを願っている。
美団単車(元Mobike) 匿名の役員
シェア自転車ビジネスにとって、よりきめ細やかなサービス、理性的かつ科学的な管理、既存の車両を効率的に活用する技術が必要である、同時に経営側が車両のライフサイクルを把握して、ユーザー体験の向上とCSR(企業の社会的責任)の徹底を考えなければならない。
華興資本 牛暁毅氏
配車・ライドシェア業界に、短期間で大きな変化が起こるとは思わない。必ず起こることと言えば、自動運転の実現だ。自動車は個人で所有する資産ではなくなるだろう。
すでに大手に席巻された市場にもチャンスが存在する。今後どんなチャンスがあるかは教えられないが、チャンスを見つけたら逃がさないようにと思っている。
(翻訳:桃紅柳緑)
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