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中国IT大手バイドゥ(百度)が先月21日、年次カンファレンス「百度世界大会(Baidu World 2022)」をオンライン開催した。同社最新のAI関連の技術的成果が次々と発表され、第6世代量産型自動運転車「Apollo RT6」や、深層学習プラットフォーム「飛槳(PaddlePaddle)」をベースに国有宇宙開発企業「中国航天科技集団(CASC)」と共同発表した世界初の航空宇宙用大規模事前学習モデルなど複数のプロダクトがお披露目された。
李彦宏(ロビン・リー)CEOは大会で「我々は技術革新の一大周期に突入しており、新エネルギー、宇宙開発、バイオ医薬品、スマートマニュファクチャリングなどの新技術が次々と生みだされている。中国の科学技術は必ず世界の最先端を走るようになるだろう。その道のりはいっぱいの石で敷き詰められなければならない。バイドゥはその敷石の一つとなり、基礎研究、基礎技術や基盤技術のイノベーションに貢献する力でありたい」と述べた。
Apollo RT6は未来のモビリティに向けてバイドゥが独自に開発・設計した量産型自動運転車だ。ステアリングのつけ外しが可能で、車両全体の車載レベルのシステムには冗長性を持たせている。製造コストは25万元(約480万円)だ。2023年には同社の自動運転タクシー配車サービスプラットフォーム「蘿葡快跑」に投入する計画で、中国全土で1万台以上を配備できるという。自動運転車の製造コストが下がることで、将来的には自動運転タクシーの運賃も半分ほどに抑えられるようになるとバイドゥは見ている。
未来のスマート都市交通には「スマートな自動車」だけでなく「スマートな道路」も必要だ。今大会で発表された最新のデータによると、バイドゥのスマートモビリティソリューションはすでに中国の50都市以上で実証実験が行われている。
自動運転車以外にも複数のAI活用モデルが披露された。大会では、浙江省博物館と台北の故宮博物院の2カ所に別々に所蔵されている中国画の10大傑作の一つ「富春山居図」をAI技術で自動修復してみせている。
絵画などのコンテンツを自動制作するバイドゥのAI技術は、大規模事前学習モデル「文心大模型」が実現したものだ(大規模事前学習モデル:あらかじめ大量のデータを用いて事前学習を施したモデル)。文心大模型は深層学習プラットフォームの飛槳をベースに開発されたもので、知識拡張型であることを特徴とし、エネルギー業界用や金融業界用、計算生物学用などすでに20以上のモデルをリリースしている。
中でも中国航天科技集団と共同発表した世界初の航空宇宙用大規模事前学習モデルは、航空宇宙分野のデータやナレッジから融合学習を実施する。データを自動で採集・分析・理解でき、深宇宙での自動センシング・計画・制御など技術的なブレークスルーを支援する。
バイドゥは最先端の技術を追究するだけでなく、AI活用の障壁を下げ、既存産業のスマート化に尽力している。今大会でもクラウド事業部門「百度智能雲(Baidu AI Cloud)」がエネルギー、製造、公共サービス、農業などさまざまな分野で収めた最新の成果を発表した。一例として、火力発電にAIを活用すれば中国で年間600万トンのCO2排出量削減が見込まれることや、山東省寿光市で現地の農業事情を汲みながら野菜の生産量を10%上げたことなどが紹介された。
(翻訳・山下にか)
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