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中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が11月15日夜、子会社の半導体製造会社「比亜迪半導体(BYD Semiconductor、以下、BYD半導体)」の分離上場を中止すると発表した。今後、時機をみて分離上場に向けた動きを再開する。
メディアに対しBYDは、申請取り下げは市場の状況判断やプロジェクトの緊急性などを鑑みて、十分に論証したうえで慎重に結論を下したものとした。
度重なるIPO申請の中止について公告では、今回の決定の主な理由は、同社の資産と事業構造を大幅に調整するためと説明している。
中国国内では電気自動車(EV)の販売台数が急激に増加しているものの、車載用半導体は川上のウエハーの生産能力に影響され、不足する状況は緩和されていない。そこでウエハーの生産能力を増強するため、IPO申請の審査が進められる中で済南のパワー半導体生産能力増強プロジェクトに投資した。すでに生産を開始し、生産能力は順調に拡大しているという。
今後市場の拡大に対応し、可能な限り迅速に供給能力を高めコントロールを可能にするため、済南のプロジェクトをベースに引き続きウエハー生産能力へ大規模投資するとした。
BYD半導体の上場は、2020年12月に申請手続きが開始されてから紆余曲折を経てきた。この2年間で、財務資料の有効期限切れのために2度、また、申請を担当した法律事務所が中国証券監督管理委員会(CSRC)に調査され、手続きが中止となった。
BYD半導体は02年にBYDのチップ設計部門として設立され、04年にマイクロエレクトロニクスとオプトエレクトロニクス分野に進出。BYDが公表した目論見書によると、パワー半導体を主な事業とし、その他にスマートコントローラチップやオプトエレクトロニクス半導体、センサーを手掛けている。
上場を前に、BYD半導体は懸命に相当な額の資金を調達した。2020年には評価額が75億元(約1500億円)と見積もられ、その上でセコイア・キャピタル、湖北小米長江産業基金、中金資本(CICC Capital)といった多くの投資機関から19億元(約380億円)を調達するなどした。
BYD半導体はチップの国産製品代替と国内自動車生産量の飛躍的増加を背景に、BYD以外に複数の自動車メーカーの産業チェーンに食い込んだ。
目論見書によると、BYD半導体の18年から20年までの3年間の売上高はそれぞれ、13億4000万元(約270億円)、10億9000万元(約220億円)、14億4000万元(約290億円)だった。中国の新エネルギー乗用車向けバッテリー駆動コントローラに用いられるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュールで、BYD半導体のシェアは過去2年間、独インフィニオン・テクノロジーズに次ぐ第2位だった。
BYD半導体は、どれほど困難であっても上場を諦めないだろう。なぜなら、上場すればBYDは半導体事業にこれ以上力を注ぐ必要はなくなり、自動車事業に集中することができる。そしてBYD半導体は母体を離れ、新たに資金調達して顧客を獲得し、真の意味で独立した国産車載半導体メーカーになれるからだ。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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