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中国の施錠具産業は年間生産高600億元(約9500億円)を超え、毎年20億個を売り上げている。シェアサイクルブームやスマートドアロックの実用化に伴って、業界の一部でスマート化が一気に進み、IoTの導入、Bluetoothや指紋認証によるロック解除など、施錠具産業に変革がもたらされた。しかし巨大な施錠具市場全体で見ると、依然として大幅なアップグレードの見込みがある。
2015年に設立された「物聯鎖(Nokelock)」は、IoT技術を基盤としたスマートロックへの転換を進めるベンチャー企業だ。
他社製のスマートロックと決定的に異なるのは、物聯鎖が自社開発のチップとNFC技術によるリバースワイヤレス充電を採用して「電源不要」を実現したことだ。NFC対応のスマートフォンなどをNFCセンサー搭載のスマートロックに近づけると、わずか2秒ほどの間に認証情報を送受信し、スマートフォンから電力を供給してロックを解除する。
電池交換の必要がなく、メンテナンスコストを抑えたエコ商品というのがアピールポイントだ。
同社の製品は以下の主要カテゴリで商品化されている。
■自転車・バイク用
自転車や電動自転車などの純正および後付けロック。取引先はライドシェア大手「滴滴出行(DidiChuxing)」や電動自転車メーカー「雅迪(Yadea)」、「愛瑪(AIMA)」など。
■ドア用
ホテルや従業員宿舎、店舗などのほか、ECサイト「京東(JD.com)」のクラウドファンディングや「天猫(Tmall)」などで販売。取引先はホテルチェーン、家電メーカー「ハイアール」、電子機器生産「フォックスコン」など。
■南京錠
送電会社の「国家電網(State Grid)」や「南方電網(Southern Power Grid)」、水道・電気・ガスメーターの企業などに提供しているほか、自社サイトやECサイトで一般向けにも販売。
■ロッカー用
オフィスのファイルキャビネットや宅配ロッカー、セーフティーボックスなど。
先ごろ、物聯鎖は駆動時間を気にする必要のない、NB-IoT対応のスマートドアロック「Nokelock X1」を発表した。ロックの解除は指紋認証やNFC、暗証番号、Bluetoothなどさまざまな方式に対応しているほか、ドアハンドルによる発電技術を採用して、電池不要で長期間の使用が可能。また自社開発の暗号化チップで銀行並みの安全性を保証している。現在、Nokelock X1は京東のクラウドファンディングで受け付けを開始しており、販売額は工賃込みで599元(約9500円)。
同社はホテルの無人化ソリューションも手がけている。電源不要のスマートドアロックやSaaS管理プラットフォームをベースに、ルームキー不要、メンテナンス不要の無人サービスを提供する未来型のホテル業態を作り上げ、ホテルがコストを削減し運営効率を上げられるよう支援していく。
消費者向けスマートドアロックの市場が白熱する中、物聯鎖は施錠具産業全体のアップグレードにフォーカスして、自転車ロック、ドアロック、南京錠などそれぞれのカテゴリに特化した商品化を進めている。同時に電源不要という新しい商品を通して、企業に対し革新的なビジネスモデルの提案を行っていく。
創業者の欧陽紅軍氏によると、2018年の売上高は1億元(約16億円)を超え、100万個以上を販売したという。同社はすでにプレシリーズAで数千万元(数億円)を調達しており、現在は新ラウンドで資金を調達中。
(翻訳・畠中裕子)
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