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ライブコマースはこの数カ月間にSNSで最も注目された話題の一つだ。大手EC「タオバオ(淘宝網)」のある女性ライバー(動画配信者)は、先月に開催されたECの大型セール「618商戦」で5億元(約80億円)超の取引額に貢献した。2019年上半期の同社傘下のライブコマース「淘宝直播(タオバオライブ)」の総取引額は130億元(約2100億円)を超えた。しかし、ライブコマースのエコシステム全体はまだ初期段階にある。ライブ配信が普及し、タオバオ以外のECでも配信のインフラが整備されつつあるため、KOL(インフルエンサー)を活用したEC事業全体にまだ大きな可能性があると言える。
KOLが販促を担うECの産業チェーン全体において、KOLと出店ブランド双方が分散しているため、彼らの中間に立って両者を結びつけるエージェントが存在する。エージェントの質は玉石混淆で、出店ブランドが騙されたり、KOLが自身の強みに合致した商品を選択できなかったりする事態が頻発している。規範化され、プラットフォーム化されたエージェントは少数だ。「拼量(PINLIANG)」はそのうちの一社と言える。同社の強みは、KOLと商品のマッチング効率を向上させて、各商品のプロモーションに適したKOLを提案できることだ。
同社の創業者である鄭雷氏は、KOLによるプロモーションやライブコマースの基礎はサプライチェーンだと考える。なぜなら、ゴールは商品を売ることだからであり、良い商品がなければ効率よく商品を売ることはできない。現在、拼量と提携しているのは約4000ブランド。同社は各ブランドのサプライチェーンを調整し、取り扱う商品の選択と価格の決定を行っている。KOLはその中から自分で担当商品を選び、ブランドは選ばれた商品をKOLへ発送する。
拼量がKOLに提供しているサービスによって、実現できるのは主に以下の3つだ。
1)ネット最安値。上述のとおり、拼量が価格決定権を有しているため、プラットフォームに掲載されている商品はどれもネット最安値が保証されている。
2)AIを用いた商品の自動選別、セルフマッチング。拼量の商品セレクト担当者たちは毎月、提携ブランドから提供される数十万SKU(最小在庫管理単位)にも上る商品の中から、数千SKUを選択して同社のプラットフォームに掲載する。学習機能を備える自社開発のAIが、各KOLの販売履歴およびフォロワーの多様な好みを基に、各KOLに最適な商品を自動選択する。
3)バックオフィスの運営とKOL向けのコンテンツ制作支援。サプライヤーのERP(企業資源計画)を通じて、商品の発送状況や在庫状況をKOLに共有し、販売管理をアシストする。コミッションの計算については、KOLが取引を1件完了するごとに、アリババのEC業者向けマーケティングサービス「Alimama(阿里媽媽)」が自動計算。自動入金する。さらに、同社はセールストークなどのテンプレート素材を提供し、KOLがコンテンツを制作する際のビジュアル戦略や内容構成などをサポートする。
EC出店ブランドにとっては、AIが自社商品にふさわしいKOLを自動でマッチングしてくれるサ―ビスが最も重要だ。さらに、事前にいかなる初期費用も支払う必要がなく、ライバーへのコミッションもCPS(サイバーフィジカルシステム)で清算することで、成果の出なかった取引に対して無駄に報酬を支払う必要がなくなる。今年5月、拼量のGMV(総流通総額)は5500万元(約8億8000万円)を超え、6月は7000万元(約10億円)を上回った。同社はそのうちの5~8%をマージンとして徴収している。
市場の伸びしろと規模は非常に大きく、淘宝直播だけを見ても、今後3年間でライブコマースは取引額が1兆元(約16兆円)規模に達すると、鄭氏は見込んでおり、業界全体なら3兆元(約48兆円)規模に達する可能性があると見ている。
現在、拼量は新たな資金調達に動いている。
(翻訳・虎野)
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