設備費不要で大幅な効率化。クラウド活用の中国発歯科用3Dプリンター、グローバルに拡大

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設備費不要で大幅な効率化。クラウド活用の中国発歯科用3Dプリンター、グローバルに拡大

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歯科向けにデジタルソリューションを提供する中国企業「南京鋮聯激光科技(Nanjing Chamlion Laser Technology)」(以下、「鋮聯科技」)がこのほど、シリーズBで2億3600万元(約45億5000万円)を調達した。三正健康(3H Health)が出資を主導し、祥峰投資中国基金(Vertex Ventures China)と既存株主の真成投資(Zhencheng Capital)も参加した。シリーズAと合わせると、これまでに総額4億元(約77億円)以上を調達している。

歯科・口腔外科の分野では業界全体がデジタル化の必要性を認識しており、歯科医療のアップグレードを実現するうえで3Dプリント技術が一つの手段となっている。現在、歯科医療で活用される3Dプリント技術には大きく分けて、被せ物や義歯のフレームなどを作成する金属3Dプリントと、歯科模型や仮歯、インプラント用サージカルガイドなどに使用するDLP(デジタルライトプロセシング)方式光造形3Dプリントの2種類がある。調査会社Transparency Market Researchによると、世界の歯科用3Dプリンターの市場規模は2025年末までに34億4100万ドル(約5800億円)に達し、年平均成長率は16.5%になると見込まれている。

こうしたなか鋮聯科技は、歯科用3Dプリンターのデジタルソリューションをワンストップで提供している。これまで3Dプリンターのサプライヤーを務めた経験をベースに、クラウド3Dプリントサービスへと事業をシフト、HaaS(Hardware as a Service)モデルを歯科用3Dプリントに応用した。3Dプリンターをインターネットに接続し、義歯を製造する大規模な分散型クラウド技工所のネットワークを世界中に構築することで、義歯加工のデータ、設計、製造の全プロセスを一本化するという仕組みだ。

同社は従来の石膏模型に代わる光硬化性レジン3Dプリンター、手作業の鋳造工程に代わる金属3Dプリンターを開発したほか、熱処理炉や研磨機などの設備も手がけ、製造工程にかかる時間を大幅に短縮した。これまでに金属3Dプリンター1000台以上が現場で導入されている。

3Dプリンターの制御ソフトやデータ処理ソフト、AIを活用した義歯設計ソフトなどのソフトウエアも相次いで開発してきた。なかでもAIとビッグデータを活用した義歯設計ソフトは、画像認識アルゴリズムを使って義歯を自動で設計できるため、作業効率を大幅に高めることができている。

歯科医療のデジタル化を進めるうえで、別の重要な要素は歯科材料だ。鋮聯科技は川上の原料市場に参入し、金属粉やレジン液、研磨剤などの主要な歯科材料を独自に開発してきた。また自社開発のソフトウエア、設備、材料を基盤として、インターネットと3Dプリンターを組み合わせたクラウドプラットフォームを構築した。これは歯科用3Dプリンターを広く活用してもらうためのもので、高額な設備費や人件費を負担することなく、デジタル設計やデータ処理、3Dプリント、加工など必要に応じたサービスを利用することができる。

具体的な流れとしては、ユーザーがクラウドプラットフォームを通じてタスクを依頼すると、デジタル設計チームがオンライン上ですぐにCADを使った設計とデータ処理を行う。その後プラットフォームのスマート生産調整システムがプリント作業を最適なクラウド技工所に割り当て、こうして出来上がった半製品または完成品がスマート物流システムで迅速にユーザーの元に届けられる。

同社は世界27カ国でサービスを提供しており、世界各地に設けたクラウド技工所は260カ所以上になる。ベトナムや米国、フランス、トルコなどにも相次いで支店を開設し、グローバルな販売ネットワークを構築しているほか、現地のニーズにかなったデジタル製造センターの設立も進めている。

(翻訳・畠中裕子)

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