超高精度2µmを実現、中国マイクロナノ3Dプリンターメーカー グローバル展開進む

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超高精度2µmを実現、中国マイクロナノ3Dプリンターメーカー グローバル展開進む

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中国の3Dプリンターメーカー「摩方精密科技(BMF Precision Tech)」がシリーズDで1億7000万元(約34億円)を調達した。出資を主導したのは国家製造業転型昇級基金などで、上海張江科技創業投資(Shanghai Zhangjiang Science&Technology Venture Capital)なども出資に参加した。

摩方精密科技は2016年に設立され、マイクロスケールの3Dプリント技術や精密加工のソリューションを提供する。マイクロナノ3Dプリント技術を用い、金型を使わない精密部品加工に特化している。

器械部品の超小型化、精密化が進む中、金型を使って成形する従来の工程はコストが高く、生産規模も小さすぎるなどの難点がある。3Dプリント技術はこの点で優位にある。

マイクロナノ3Dプリント技術とは、従来の3Dプリント技術よりも精度や解像度が高く、より複雑な構造にも対応できるマイクロスケールあるいはナノスケールのプリント技術だ。 超小型電子部品や光学機器部品の加工、生物医学分野に用いることができる。しかし、技術の実用化には2つの壁が立ちはだかる。1つはプリント速度と材料コストで、大規模かつ速やかな実用化を進めるうえでネックとなる。もう1つは技術の再現性や精度で、製品の安定性や制御可能性でさらなる改善が必要だ。

摩方精密科技は独自のPμSL技術(投影型マイクロ3D光造形技術)に特化する。この技術は高精細紫外線投影・光造形システムを用い、プリントする図案をタンク内の液体樹脂表面に投影し、硬化させて一層ずつ成形するもので、デジタルモデルからダイレクトに複雑な立体模型やサンプルを作成できる。

摩方精密のマイクロナノ3Dプリント技術イメージ図

摩方精密科技は2018年に最初のプリントシステムを納品している。3Dプリント技術を評価する重要な指標の一つは精度だが、同社の超高精度3DプリントシステムのNanorchシリーズは現在、精度が最高2μm(マイクロメートル)に達する。

現在、精密セラミックス部品、精密医療器具、高周波通信などの分野で製品を展開している。中でも比較的成長の速い事業が歯のラミネートベニアとバイオリアクターだ。

ラミネートベニアは歯の審美治療に用いられるもので、欠損あるいは変色した歯の表面に装着することで自然な見た目を取り戻す。これまでのラミネートベニアは厚さが400μm以上あり、厚みがあるため装着前に歯の表面を削る必要があった。摩方精密科技では厚さ100μm以下のジルコニアラミネートベニアを作成できるため、以前ほど歯を削る必要はなくなった。

GPSアンテナなどに使用されるセラミックアンテナも、同社の3Dプリント技術を用いれば、通常は成形ができないチタン酸マグネシウム複合セラミック材料も成形できる。製品の精度を保証できるうえ、ヘテロ構造や3D内部構造の製品を生産できる。将来的には次世代通信規格6G対応、あるいはそれ以降のアンテナ開発を手がける可能性もある。

材料は3Dプリンター企業をカテゴライズする1つの物差しだ。上場企業の「鉑力特(Bright Laser Technologies)」や「華瞩高科(Farsoon Technologies)」は金属3Dプリンターを手がけているが、摩方精密科技は非金属3Dプリンターを手がけている。

摩方精密科技ではレジンとセラミックスの両方を扱っている。プリントシステムを通じてプラスチック構造部品や機能部品を直接成形でき、研磨や塗装などの後加工工程も減らせる。同社によると、2023年6月時点で、世界35カ国の1700以上の研究機関や企業と提携しており、ジョンソン・エンド・ジョンソン、GEヘルスケアなど世界の医療機器トップ10社はすべて同社と協力関係にある。

(翻訳・山下にか)

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