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ファーウェイ(華為技術)が採用した「天才少年」として知られる「稚暉君」こと彭志輝氏が、新たに手掛け始めた人工知能(AI)ロボットプロジェクト「智元機器人(Agibot)」が注目を集めている。
同プロジェクトを基盤に設立された企業「上海智元新創技術」がこのほど、3回目の資金調達を完了したことが分かった。企業情報検索サイト「天眼查」によると、バイドゥ(百度)の創業者、李彦宏(ロビン・リー)氏率いるベンチャーキャピタル(VC)のほか、経緯創投(Matrix Partners China)や高榕資本(Gaorong Capital)などが新たな株主として加わった。
上海智元新創技術は今年2月27日に設立されたばかりの新興企業だが、今回の資金調達で評価額は十数億ドル(2000億円前後)に達したとされる。設立後わずか4カ月でユニコーン企業の仲間入りを果たしたことになる。
元「天才少年」はAIロボットで成功できるか
ファーウェイは2019年、超優秀な若手研究者を超高給で雇用する「天才少年プロジェクト」を始動した。抜擢された研究者の年俸が100万〜200万元(約2000万〜4000万円)と高額だったため、当初はさまざまな議論を呼んだ。
1993年生まれの彭志輝氏は、2020年に天才プロジェクトに抜擢され、AIエッジコンピューティングの分野に取り組んだ。その一方で、中国版YouTubeと呼ばれる「ビリビリ動画」ではフォロワー230万人を抱える有名配信者「稚暉君」として、自身が開発した自走式ロボットや指でつまめるほど小さいテレビ、自動運転自転車などを紹介してきた。
彭氏は2022年末、自身がファーウェイをすでに離職しており、今後は新たなプロジェクトとしてAIロボットの分野に挑戦するとSNSで発表した。その後、今年4月には最新作のロボット「neZHa」をビリビリ動画で公開するとともに、数カ月後には正式発表する方針を明らかにしていた。
ちょうど同じ頃、上海智元新創技術は大々的に人材募集を開始した。4月に公開された求人情報によると、同社は汎用ヒト型ロボットとEmbodied AI(身体性を有するAI)の開発に特化した企業で、AIとロボットの深いレベルでの融合に注力し、長期的な視野に立って競争力のあるロボットとそのエコシステムを作り上げていくとしている。同社によると、大規模言語モデルとロボット工学の融合はすでに必然的な流れとなっており、ロボットの活用場面は近い将来、大きな転換点を迎える見通しだという。
しかし、関連分野に携わる人々からは、心配の声も上がっている。AIロボットの開発には予想もつかないほどのマンパワーと資金が必要になる上、市場での普及度を考えれば短期間でビジネス的な成功を収めるのは難しいとの見方がある。ヒト型ロボットには依然として未解決の課題も多く、センシングや制御の問題を解決するには多くの費用と時間が必要になる。大規模言語モデルとの融合に関しては、イーロン・マスク氏率いる米テスラのヒト型ロボットですら、現時点では言葉を発する機能を持たない。極めて優秀な研究者であるとはいえ、彭氏にそれが可能だろうか。天才が始めた新たなゲームの行方に注目したい。
作者:融中財経(WeChat公式ID:thecapital)、翻訳・田村広子
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