世界最高峰のレコメンド技術、日本に到来。DXを知り尽くしたBytePlusが示す勝ち筋

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世界で人気のプロダクトを数多く手掛けるテクノロジー大手のByteDance(バイトダンス)が2021、自社製品を成功に導くコアテクノロジーを集結し、法人向けサービス「BytePlus(バイトプラス)」を立ち上げた。幅広い業種に向けてトータルなインテリジェント・ソリューションを提供し、企業の事業拡大やDXに貢献することを目指す。

BytePlusは現在、韓国やインドネシア、アラブ首長国連邦、トルコのほか、英国など欧州諸国で事業を展開しているが、なかでも早くに進出した重点市場の1つが日本だ。これまでBytePlusについて公の場で語られることはほとんどなかったが、36KrBytePlusグローバル責任者の張永亮氏を招き、ソリューションの詳細やいち早く日本市場に進出した理由について話をうかがうことができた。

世界的な大ヒット製品を生み出すレコメンドシステムの実力

張永亮氏の考えでは、BytePlusの設立は必然だったという。ByteDanceはすでに業界に対する深い知見や技術的経験を積み上げ、このノウハウによって自社プロダクトを成功に導いた。機械学習に基づくレコメンドシステム、広告分析ツール、音声・ビデオ技術などの幅広いインテリジェントツールをオープンな市場に解き放ち、その効果性や先進性をオープンな市場で検証したいと考えている。

ByteDanceが展開している製品には、世界に数億人のユーザーを抱える人気プロダクトもあるが、こうした人気プロダクトを支えているのは、機械学習を活用した強力なレコメンド機能だ。膨大なユーザー行動の指標を分析し、それぞれのユーザーにぴったりのコンテンツをお薦めすることで、多くの利用者からの支持を集めてきた。

張氏は、テクノロジー主導の理念は同じく顧客にも伝わっていくとしたうえで、顧客の抱える悩みを根本から解決し、真の価値あるサービスを提供したいと語った。

BytePlus・張永亮氏

BytePlusが考える、企業のデジタル変革のヒント

なぜ日本市場を重点的に開拓することに決めたのか、張氏は以下のように語った。同時に、BytePlusが日本で長期的なサービスを提供する決意でいることを繰り返し強調した。

日本には非常に成熟した秩序ある市場がある点に注目した。Eコマース、メディア、HRSaaS、教育、消費関連など業種がとても豊富で、漫画やゲームなどのエンタメ業界も長期にわたり発展しており、特定領域で顧客ニーズをしっかり捉えたユニークなサービスも多い。

しかし最も重要なこととして、日本の産業が転換期を迎えており、多くの企業がDXへの対応に後れを感じ、業界トップのデジタル企業であってもデジタルネイティブに合わせたユーザー体験の再構築を迫られていることがある。

そして大企業であっても、その状況に対応できるだけの十分な技術力、資金やコストが必ず備わっているわけではない。ByteDance10万人規模のエンジニアを抱える、世界でもまれな企業だ。BytePlusはこの潤沢な技術リソースと、10年にわたるプロダクトのマーケティング経験、業界知見、最先端テクノロジーや海外の先進事例のエッセンスを日本に持ち込むことで、日本の様々なサービスをデジタル変革の時代でも勝ち抜く一役を担えるのではないかと考えている。

例えば、日本のネットショッピングはある程度成熟しているが、今後のさらなる成長のため、顧客のニーズを掘り起こしてGMVの拡大を図るには、より良いショッピング体験を提供することが必要になる。従来のテキスト中心のECサイトから動画中心へと移行する際には海外の先進事例が参考になりそうだ。そしてこの分野はいずれもBytePlusが最も得意とするところだ。また、同社の音声・ビデオ技術も大きな強みと言える。例えばリアルタイム通信可能なRTCや機械学習の技術を活用すれば動画をより速く安定して生成することができ、コンテンツをいっそう面白くできるだけでなく、顧客のコンテンツ制作コストを大幅に削減することができる。

「既存システムで成果が頭打ち」から抜け出す、BytePlusの改善施策とは

BytePlusのソリューションが日本企業の成長に貢献できる、張氏がそう考えるきっかけとなった事例を紹介する。作品数500万本以上、読者数600万人以上を有する日本最大級の小説サイト「テラーノベル(Teller Novel)」との取組みだ。

テラーノベルにとって、情熱的で潜在的な読者と、才能ある著者を的確に結び付け、彼らが深い信頼関係で成り立つコミュニティへと成熟させていくことは非常に重要だ。実現すれば新しいIPが多数生み出され、多くの事業機会を獲得できる。

しかし、この明確なビジョンをシステムに反映させるために改善を繰り返してきた同社だが、既存のシステムベンダーに依頼すると、継続的なチューニングに膨大なコストがかかり、テラーノベルの事業成長に寄り添った支援や詳しい専門家もいないため、施策を打っても頭打ちに近い状態となった。

そこで以前からByteDanceプロダクトの大ファンだったテラーノベルのCEO(蜂谷氏)が頼ったのがBytePlusだった。ByteDanceプロダクトをよく利用していたので、洗練されたレコメンデーションエンジンなどByteDanceの基盤となる技術力の高さは理解していたが、相談する過程で技術力以外のBytePlusの魅力にも気付いたようだ。

・柔軟性を持ったカスタマイズ対応

例を挙げると、当時のテラーノベルが頭を悩ませた課題に「ユーザーの最新の行動に如何にアップデートし続けるか」があった。日々変化するユーザーの嗜好に既存のレコメンドシステムは対応しきれなかった。そこでBytePlusは迅速に適応できるシステムをテラーノベルのために個別開発することで問題を対処した。これによりユーザーの反応が目に見えて変わった。他にも様々な要求に応じたカスタム機能を実装するなど、ByteDanceは持ち前の柔軟性で真のニーズを解決できることを証明した。

・顧客のビジネスモデルに寄り添った、戦略的なアドバイス

競合他社が提供するサービスではCTRなどの中核的な指標のみに焦点を当てた対応をする。BytePlusは、専門家が顧客のサービスの成長に必要な幅広い指標の価値を理解することで、単一的な対応ではなく戦略的パートナーとして的確なアドバイスを行う。BytePlusの専門家は、テラーノベルのビジネスモデルを理解し、ユーザーの読書傾向を深く分析することでレコメンドシステムを洗練させ、どこも真似できないレベルのパーソナライゼーションを実現している。BytePlusは技術力に加えて、戦略的な改良で施策を成功に導いたのであり、結果、最も分かりやすい数値として、DAUの改善とともにクリック率も40%増加という大きな実績を出した。

企業が求める指標を分かりやすく伝えるツールを提供

長期的な視野に立った事業パートナーとして

張氏は、日本企業のスタイルが個人的に大好きだと明かした。堅実かつ慎重で、プロダクトの実際の成果を重視し、パートナー企業との信頼関係を大事にし、長期的な視野でプロジェクトを力強く進めていく。これこそBytePlusが目指すところであり、腰を据えて顧客の問題解決のサポートにあたることを願っているのだという。

日本企業にとって注目すべき点として、BytePlusは現在、成果報酬モデルでサービスを提供している。「私たちは自社のサービスに自信を持っている。日本の市場に対しても辛抱強く向き合っていくつもりだ。場合によっては、企業にABテストを実施してもらった後で、当社サービスを導入するかを決めてもらってもいい。顧客側のリスクは非常に小さいし、私たちも短期的な収益に頼っているわけではない。日本企業と共にデジタル変革期を乗り切り、本当の意味で長期的な価値を提供すること、これが成功の基準なのだ」

これまでにBytePlusは世界中で30社以上の企業と提携を結んでいる。シンガポールのオンライン不動産プラットフォーム「99.co」、インドネシアの大手オンラインマーケットプレイス「Tokopedia」やライブストリーミングサービス「genflix」などのほか、日本ではテラーノベル以外にも、ファッションECBUYMA(バイマ)」、求人プラットフォーム「バイトル」、株式会社MIXIが運営するカラオケ動画コミュニティ「KARASTA(カラスタ)」などを顧客に抱えている。

張氏はこれから日本での事業を拡大させるうえで、まずは日本企業の皆さんと積極的に未来のビジネスの在り方や方向性などについて議論をしていきたいと語る。EコマースやHR、コンテンツ、エンターテインメント業界などは既に経験や知見も蓄積されてきており、成長目覚ましい日本市場での支援に注力してく。そのためには日本での事業提携パートナーの開拓や、人材採用も急ピッチで進めていくという。

(作者:WANG・公文

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