自動運転機能をよりスマートに。中国の高精度測位チップ企業、独ボッシュから資金調達

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自動運転機能をよりスマートに。中国の高精度測位チップ企業、独ボッシュから資金調達

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衛星測位システム(GNSS)チップやアルゴリズムなどの開発を手がける中国企業「北雲科技(Bynav Technology)」がこのほど数億元(十数億~百数十億円)を調達した。出資には独ボッシュ系の博世創投(Bosch Ventures)、長城汽車(GWM)傘下の投資プラットフォーム長城資本、小鵬汽車(Xpeng Motors)系プライベートエクイティファンドの星航資本、吉利グループ(Geely)系ファンドの星源資本など、国内外から大手自動車メーカーやティア1サプライヤーの投資機関などが参加した。

2013年に設立された北雲科技のチームは中国版GPS「北斗」衛星測位システムの開発に携わった主力メンバーを抱え、これまでに科学技術進歩賞の1等を何度も獲得するなど豊富な経験を有する。独自開発の高精度GNSSチップをベースに衛星航法、慣性航法、複合航法アルゴリズム、センサーフュージョン・ソフトウェア開発キット(SDK)などインテリジェントカー向けの高精度測位ソリューションを提供し、インテリジェント・ドライビング業界のティア1サプライヤーとなっている。

北雲科技の高精度測位ソリューション:インテリジェント・ドライビングシステムでの活用と製品ライン

自動車のインテリジェント化が進み、活用シーンがいっそう広がる中、各社がインテリジェント・ドライビング機能をより周縁部で使えるようにしてユーザー体験を向上させようとしており、高精度測位の重要性と活用規模はますます大きくなっている。

高精度測位は自動運転の可用性を高めるほか、高速道路ランプの自動通行、地下駐車場での駐車位置の記憶、走行ルートの記憶、地図情報の収集、拡張現実ヘッド・アップ・ディスプレイ(AR-HUD)などの場面をサポートする。

また、LiDARなどが使えないような複雑な環境では車両の自動運転機能にリアルタイムの絶対位置情報を提供できる。例えば秒単位の遅延がある一般的な精度の測位では、高速道路を走行中に数秒の遅延によってランプ情報を見落とす恐れがある。これに対して高精度測位なら遅延をミリ秒単位にとどめられる。

北雲科技は上海国際自動車ショー(Auto Shanghai 2023)で、自動車安全水準「ASIL B」を満たす独自開発の第2世代高精度測位SoC「Alice」を発表した。

北雲科技の高精度測位SoC「Alice」

インテリジェントカーの測位用に設計されたこのチップは、高精度測位アルゴリズム(RTK・PPP-RTKアルゴリズム、密結合複合航法アルゴリズム、干渉抑制アルゴリズム)とLバンドおよびセンチメータ級測位補強サービス(CLAS)による衛星航法補強機能を集約し、本格的な高精度測位機能の車載を後押しする。

北雲科技はチップのほかに、高精度測位アルゴリズムを独自に開発している。例えば密結合複合航法アルゴリズムは、衛星が発する信号を受信する前に高精度測位チップに慣性航法の情報を伝えることで、衛星の正確な捕捉を後押しし、測位の安定化と精度向上をもたらす。これは特に並木や建物など遮蔽物がある環境で役に立つ。一般的な複合航法アルゴリズムでは、可視衛星が少なくなるとデータの完全性、測位の精度と安定性が下がってしまうからだ。

北雲科技は世界的な微小電子機械システム(MEMS)メーカーと提携を結んでいるほか、独自のスマート工場を建設し、中国では数少ない大規模な慣性計測装置(IMU)キャリブレーションセンターを設けている。

創業者の向為CEOによると、同社のソリューションは多くの完成車メーカーに高く評価されているという。また外注チップを使う他社に比べ、チップを独自に開発する同社のソリューションにはコスト的な優位性がある。現在、同社の製品は主にインテリジェントカーと自動運転に使われ、著名自動車メーカーの20車種以上に搭載されており、商用車、自動運転レベル4、ロボタクシーなどの分野で数十社のメーカーと提携を結んでいる。

(翻訳・大谷晶洋)

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