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中国検索エンジン最大手の百度(バイドゥ)が、独自の大規模言語モデル(LLM)の最新バージョン「文心(ERNIE)大模型4.0」を発表し、間もなく2カ月が経とうとしている。
10月17日に開かれた「百度世界大会2023」で、最高経営責任者(CEO)の李彦宏(ロビン・リー)氏は「文心大模型4.0の総合的な能力は、米オープンAIの『GPT-4』に匹敵する」と述べた。
李CEOは、理解・生成・論理・構築の四大能力が、人工知能(AI)ネイティブアプリを開発するための基礎となるとの認識を示した。LLMの基本的能力のアップデートは、アプリエコシステムの最適化と再構築につながる。
文心大模型は、百度の検索ツールやオフィスツール、マーケティングツールなど、既存のモバイル・エコシステムを再構築した。検索では、ユーザーの追加質問に応じるほか、対応する図表も自動生成する。オフィスでは、文書共有サービス「百度文庫」がパワーポイント資料の作成に対応。マーケティングでは、AIを活用した広告制作やビジネス分析などで力を発揮する。
文心大模型をベースとしたAIプロダクトは今年8月、中国政府から一般公開の承認を受けた。百度は文心大模型に基づいて独自開発したAIネイティブアプリの第1弾を打ち出し、スマートコックピットや地図アプリ「百度地図」、LLMプラットフォーム「文心千帆」、生成系ビジネスインテリジェンス(Generative BI)などに導入した。
オープンAIの対話型AI「ChatGPT」が発表されると、業界各社はまず、対話型AIを検索システムの再構築に利用できると考えた。百度の検索ツール「百度搜索」では、検索ワードに応じて検索結果のトップにLLMの理解を通じた回答を表示し、統計などに関する項目では回答に加えて「動くグラフ」も提供する。また、追加質問に回答する機能もあるため、ユーザーは検索した内容を深く掘り下げて理解できる。
百度はスマートコックピットにAIを導入する取り組みも進めており、自動運転プラットフォーム「Apollo」向けにスマートコックピット用LLMとスマートコックピット開発用ツールチェーンを打ち出している。自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)と共同開発したスマートカーの初代モデル「極越(JIYUE)01」を発表したほか、スマートコックピット用LLMに基づく車載音声アシスタントがキャデラックの「LYRIQ」やビュイックの「Electra E5」、吉利の「銀河L7」や「銀河L6」などに搭載されている。これらの車では、AIが複数の搭乗者の声を聞き分け、運転やナビゲーション、娯楽や情報サービスなど多様なニーズに応えてくれる。
LLMをめぐる競争はすでに、次のステージ「アプリ」に移っている。百度世界大会2023では、文心大模型をベースに開発したAIネイティブアプリを提供するアプリストア「千帆」が紹介された。
千帆では現在、オフィス、マーケティングサービス、専門分野、仕事の効率化、分析・意思決定の5つの場面に対応するAIネイティブアプリを提供している。米メタの「Llama(ラマ)2」などサードパーティのLLMも含め、42の主要なLLMがプラットフォーム上で公開されており、すでに1万7000社がさまざまなタイプのAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を利用し、アプリ開発を進めている。
李彦宏CEOは百度世界大会2023の閉会のあいさつで「(LLMなど)先進的な基盤モデルがあれば、豊かなAIエコシステムを築ける。共に次の経済成長の(土台)を創造しよう」と呼びかけた。
(翻訳・田村広子)
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