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シャシーシステムを電気信号で制御する「シャシー・バイ・ワイヤ」を手がける自動車部品メーカー「上海同馭汽車科技(Tongyu Automotive)」がこのほど、シリーズBで5億元(約100億円)を調達した。資金は、電子液圧ブレーキ(EHB)など主力製品の生産拡大や、電気機械式ブレーキ(EMB)など新製品の開発に加え、上海市内に新たに設ける生産拠点の建設に充てる方針だという。
同馭汽車の設立は2016年。上海市にある理工系の名門・同済大学の研究成果を事業化するために誕生した企業で、国や上海市から専門性・精密性・特色・新規性を備えた「専精特新」企業に認定されている。
自動車の電動化とスマート化が進むなか、ブレーキやステアリングを含むシャシーシステムも大きく変化しつつある。従来の機械的機構によるシャシーや複雑な制動システムは、統合性や拡張性が不十分なため、スマートカーや電気自動車(EV)の開発に必要な要件を満たせなくなっている。そこで、電気信号でブレーキを制御する「ブレーキ・バイ・ワイヤ」が新たに登場し、急速に従来の機械式ブレーキシステムに取って代わろうとしている。
ステアリングホイールとタイヤを電気信号でつないでタイヤ角を制御する「ステア・バイ・ワイヤ」は、高度自動運転でその強みを発揮し、低速運転時には機敏なステアリングを、高速運転時には安定した走行を確保する。運転手の好みに合わせた運転感覚に調整することもできる。
同馭汽車はシャシー・バイ・ワイヤ全般を手がけている。ブレーキ・バイ・ワイヤに関しては、電子液圧ブレーキ(EHB)、電動パーキングブレーキ(EPB)、アンチロック・ブレーキ・システム(ABS)、横滑り防止装置(ESC)に加え、EHBとEPB、ESCの機能を統合した新製品「iEHB」を展開しており、自動車メーカーのニーズに合わせ、さまざまな組み合わせのソリューションを提供している。
同馭汽車は現在、上海市嘉定区と江西省宜春市に生産拠点を構えており、ブレーキ・バイ・ワイヤ関連製品の年産能力は150万セットに上る。製品はすでに、乗用車や商用車、無人配送車など計100車種余りに搭載されている。
現在の提携先は、自動車大手では中国第一汽車集団(FAW)や日産自動車、東風汽車集団(Dongfeng Motor)、吉利汽車(Geely Automobile)、北京汽車集団(BAIC)など。新興EVメーカーでは哪吒汽車(NETA)や零跑汽車(Leap Motor)。商用車メーカーでは江淮汽車(JAC)や江鈴汽車(Jiangling Motors)、上汽通用五菱汽車(SGMW)、北汽福田汽車 (BAIC Foton Motor)、金龍客車(King Long)など。さらに、料理宅配大手の美団(Meituan)やネット通販大手の京東集団(JDドットコム)など、計数十社に上る。
今後は、人材確保や組織拡充に取り組むと同時に、先端技術の予備研究をより多く展開し、シャシー・バイ・ワイヤ関連技術のリーディングカンパニーを目指すという。
*2023年12月8日のレート(1元=約20円)で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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