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中国の大型蓄電用パワーコンディショナー(PCS)市場にまたまた新たな強豪が参入した。
太陽光発電用PCSや蓄電システム(ESS)の世界的メーカーである「陽光電源(Sungrow Power Supply)」が社外向けに大容量PCSの販売を開始し、すでに一部の商品が出荷されたという。
陽光電源はこれまでもPCSを製造し、システムインテグレーターとして提供する自社のESSに組み込んでいたが、単独では対外的に販売していなかった。今回外部の企業にも販売することで、陽光電源には大型蓄電用PCSのサプライヤーという肩書きも加わったことになる。関係者によると、昨年9月に同社が組織改革を実施した際に示されたPCSの販売計画が、このほどようやく実行に移されたという。
PCSは蓄電システムと系統電力網の間に置かれ、電池の充電と放電を制御し、交流・直流を変換する機能を持つ。電気が双方向に流れるようにする重要な機器として、システム全体のコストのうち15~20%を占めている。英調査会社ウッドマッケンジーの統計によると、陽光電源がインテグレーターとして提供するESSは世界で最も多く導入されている。これまでそのESS用だけでも大量のPCSを出荷し、出荷量は海外市場で長年にわたりトップだった。
陽光電源は中国国内の大型蓄電PCS市場において実力を見せつけ、シェア獲得を目論んでいる。同市場ではメーカーに対する市場側の技術的な要求も厳しく、十分な実力がなければ新規参入したメーカーがチャンスをつかむのは難しい。
中国国内の大型ESS市場はすでに成熟し、国有企業による集中調達の傾向が次第に強まっているが、関係者は「陽光電源と国有企業は業務上良好な関係にあり、大型蓄電用のPCS事業も太陽光発電事業と同じように上手くいくと見込んでいるはずだ」と語る。
陽光電源には世界最大の太陽光発電用PCSメーカーという優位性がある。さらに大型蓄電用PCSの製造経験とスケールメリットも相まって、同社の参入は中国の大型蓄電用PCS市場に大きな衝撃を与えるだろう。特に出荷量上位のメーカーとの間で、シェア争奪戦が繰り広げられるかもしれない。
陽光電源の2023年業績予想によると、太陽光発電用PCSやESSなどの主要事業がいずれも急速に拡大し、売上高は前年比76~89%増加の710億~760億元(約1兆5000億~1兆6000億円)に、親会社株主に帰属する純利益は同159~187%増加の93億~103億元(約2000億~2200億円)になると見込まれている。
世界の太陽光発電市場の急激な拡大は2023年には落ち着きを見せ、陽光電源の業績にも影響している。こうした状況のなか、大型蓄電用PCSの対外販売は新たな成長事業になることが期待されている。
※2024年3月15日のレート(1元=約21円)で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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