中国、AIで廃棄物を資源にーー識別精度95%、処理速度は人手の8倍
人工知能(AI)を活用した廃棄物の再資源化に取り組む中国企業「蔚復来(Azureflying)」がこのほど、シリーズCの追加ラウンドで既存株主の博将資本(Bojiang Capital)から数千万元(数億円)を調達した。調達資金は、高性能スマート設備の改良や新規用途の開拓に充てられる。
蔚復来は2018年に設立され、廃棄物の分別・処理・再資源化に特化したテック企業として、国レベルの「専精特新(専門化・精密化・特徴化・新規性)企業」の中でも特に成長可能性の高い「重点小巨人企業」に認定されている。現在、国内20省近くの200都市余りで事業を展開、2025年の売上高は数億元(数十億円)規模に達している。
スマート設備とデジタルプラットフォームの両輪駆動
蔚復来は「生ゴミ」と「再生可能資源」の二分野を軸に、廃棄物の分別から処理、資源化までを一貫して手がける。
飲食店や家庭のキッチン、食品市場などから出る生ゴミについては、水分量が多く処理が難しいため、有機廃棄物の好気性発酵に着目したスマート設備を自社開発した。この設備には28個のセンサーが搭載されており、AIがゴミの温度・湿度・酸素濃度を自動調節して90%以上の減量を実現すると同時に、有機肥料など付加価値の高い製品を生産できる。その「分散処理モデル」は設備の数や設置場所を選べるため、住民4000人以下の小規模コミュニティから2万人以上の大規模コミュニティまで対応可能。従来の集中処理モデルが抱えていた輸送コストの高さも解消される。
プラスチックや金属、紙などの再生可能資源については、専用のスマート分別設備を打ち出している。ハイパースペクトルと可視光を組み合わせ、AIで対象物を識別する技術を採用し、識別精度は95%以上、分別精度は96%以上に達する。対象物が隠れていたり、変形していたり、透明だったりする場合にも対応可能で、20種類以上の再生可能資源を識別できる。
エアブローとロボットアームを組み合わせた無人設計により、廃棄物の投入から分別済み資源の取り出しまで24時間連続で稼働し、人手による処理量の5〜8倍の処理能力を持つという。スマート解体設備を組み合わせれば、大型廃棄物や廃家電などの自動分解や分別・資源化も可能となる。
これまで廃棄物処理の工程に関するデータには十分な透明性がなく、管理が難しかった。これを解決するため、蔚復来は廃棄物の全ライフサイクルをカバーするデジタルプラットフォームを構築し、人員・ゴミ収集車・設備・廃棄物に関する多角的データを取りまとめることで、問題の追跡率95%を達成した。
プラットフォームはAIアルゴリズムを基盤としており、リアルタイムの状況をモニタリングするだけでなく、ゴミ収集車のルートを最適化することで無駄な走行を15〜20%抑えられるため、総合的な管理コストがゴミ1トンあたり約25元(約580円)低減する。
「蔚復来」の移動式廃棄物乾留装置
「三位一体」のビジネスモデル
収益構造は「設備販売+運営サービス+資源化による追加収益」の三本柱で構成される。
・設備販売:単価20万〜100万元(約460万〜2300万円)のスマート設備の販売に加え、AIアルゴリズムの3年間無料アップグレードサービスによる高付加価値戦略を採用。
・運営サービス:BTO(建設・譲渡・運営)やBOO(建設・所有・運営)などのモデルで政府機関や企業と連携し、長期的かつ安定的なキャッシュフローを獲得。
・資源化による追加収益:有機肥料や生分解性繊維といった再資源化製品によって、15〜30%の追加収益を実現。
同社は現在、江西省などの地方政府と連携し、飲食店から出る廃棄物の独占運営を手がけるほか、浙江省嘉興市などと共同で、再生可能資源分別センターなどを建設している。また、海康威視(ハイクビジョン)や中国移動(チャイナ・モバイル)などと技術提携を結んでいるほか、恒逸石化(Hengyi Petrochemical)や山鷹紙業(Shanying Paper)と共に「廃棄物ゼロ工場」の開発に取り組んでいる。
2025年には新規受注が5億元(約11億5000万円)を突破し、安定した利益を計上できるようになった。今後は2億5000万元(約58億円)を投じ、浙江省に分別用AIロボットの製造拠点を建設する計画で、中核部品の自社生産でコスト低減を図り、市場拡大を加速する方針だという。
*1元=約23円で計算しています。
(翻訳・田村広子)