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中国では現在、中国式のシャツにひだ付きのスカート「馬面裙」を配したり、盤扣(パンコウ、チャイナボタン)が付いた立ち襟の上着にデニムパンツを合わせたり、旗袍(チーパオ、チャイナドレス)と洋装を組み合わせたりするコーディネート「新中式」を抜きに最近のトレンドを語ることができなくなっている。新中式はファッションにとどまらず、化粧やグルメ、健康管理といったさまざまな分野も席巻しており、新たなトレンドとなっている。
中国社会科学院経済研究所経済成長理論研究室の楠玉副研究員は新中式について、中国伝統文化の要素と現在の美に対するセンスを結び付け、中国的な要素と現代の社会生活や中国人の美意識を融合させたものなら全て「新中式」と言えると説明した。
今年の春節(旧正月)期間中、新中式が複数の電子商取引(EC)やソーシャルネットワークのプラットフォームで検索ワードランキングに登場し、ますます多くのファッションブロガーやコーディネートの達人たちが華やかな服装に身を包み、観光名所に出現するようになった。SNSアプリ「小紅書(RED)」では「新中式コーディネート」に関連する記事数がすでに324万件余りに達しているほか、動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」でも「新中式コーディネート」トピックの動画再生回数が100億回を超えている。
大手通販サイト「淘宝網(タオバオ)」のデータでは、2023年の「新中式」ファッション市場規模が10億元(1元=約21円)クラスにまで成長していることが明らかになった。馬面裙をはじめとする漢服などの関連企業の売上高も急増しており、山東省菏沢市曹県では漢服の24年1月の売上高が9億2千万元に達し、半分近くを馬面裙が占めた。このほか、大手通販サイト「天猫(Tモール)」のファッション部門が発表した春夏主要トレンドスタイルにも「清冷風新中式」が入っており、爆発的な人気が続いている。
形式を非常に重んじる漢服とは異なり、新中式のデザインは大胆さやミックスアンドマッチ、寛容性といった要素が強い。特別なシーンに限らない実用性の高さを備えた、より日常的な中国風ファッションの概念を開拓したことで、若者も気軽に受け入れるようになった。中国の漢服愛好者である紫嵐さんは新中式を好む主な理由について、中国的な美に対するニーズを満たした上で現代的な風格を持ち実用性が非常に高い点を挙げ「漢服を着て撮影に出かけるのが好きだが、漢服は普段着としては不向きで、現代人のハイテンポな仕事や生活の中で求められるものに対応できない。その点、改良版漢服や新中式は、美しさと実用性という両方のニーズに沿っている」と話した。
ファッション以外にも、新中式の化粧やグルメ、健康管理、インテリアが流行し始めている。小紅書のデータ分析プラットフォーム「千瓜数拠」によると、昨年に小紅書のスキンケア、メーク、ボディートリートメント分野における新中式関連の「種草筆記」(商品やサービス、ブランドについての体験シェア、推薦を目的とする書き込み)数が前年比48%以上増加。月平均の「いいね」の数も40万回以上に達しており、ユーザーから人気を集めていることが明らかになった。若者たちはまた、中薬房(中国伝統薬の薬局)で酸梅湯を飲む、体に良いおやつを肌身放さず携帯する、八段錦(気功法の一種)で体を鍛えるといった、食と遊びを融合した「新中式養生(健康増進)」を楽しんでいる。新中式を主とするインテリアスタイルは、東洋の雰囲気を残しながら流行性も帯びていることから「70後」(1970年代生まれ)から「00後」(2000年代生まれ)まで幅広い年齢層のファンを獲得し、インテリア産業で美的地位を固めている。
新中式の消費層は現在、低年齢化、多様化の傾向を示しており、シーンやニーズの細分化がますます進んでいる。東華大学(上海市)の教授で、上海ファッション都市促進センター主任の卞向陽氏は、幅広く奥深い伝統文化と色とりどりに輝く中国のストーリーが、中国風ファッションの潤沢な宝庫になっているとし、新中式ブームは新世代の若者が持つ文化的な自信と民族的な誇りの表れであると説明。東方美学を代表とするライフスタイルの復興が引き続き時代をリードしていくとの見方を示した。(新華社北京)
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