こだわりサービスで「神企業」と呼ばれる中国小売り・胖東来、10日間「不機嫌休暇」制度導入で話題

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中国のSNSサイト「微博(ウェイボ)」でこのほど、河南省を拠点とする有名小売チェーン「胖東来」(パンドンライ)が10日間の「不機嫌休暇」制度を導入したとの情報が検索ランキング上位に入り、2万3000件のコメントが付く議論を呼んでいる。

胖東来は于東来氏が1995年に創業。同省許昌市や新郷市などに13店舗を展開している。于氏は3月26日、胖東来を運営する胖東来商貿易集団が今年から既存の休暇制度に加え、従業員に10日の「不機嫌休暇」を付与すると明らかにした。この制度では、従業員は何らかの理由により気分がすぐれない場合に休暇を申請することができ、管理職はこれを必ず承認しなければならない。于氏はこの制度について、従業員により多くの自由を与えることが目的だと強調した。

胖東来による顧客本位のサービスや、従業員への配慮ぶりはここ数年、ソーシャルメディア上で評判が拡散し、ますます多くの消費者が自ら体験しようと訪れている。中国のSNSアプリ「小紅書(RED)」だけでも「胖東来」の関連投稿が19万件に上っており、その内容も必ず買うべき商品リストや、各店舗の交通指南など多岐にわたっている。

消費者にとって胖東来は良質でコストパフォーマンスの高い商品だけでなく、他のショッピングモールをはるかに上回る買い物体験を提供してくれる存在となっている。施設内のシネコンで見た映画が満足できなければ払い戻しができ、店内でうっかり物を壊してしまっても賠償する必要はない。乳幼児連れの家族向けにとても大きな授乳室を用意し、無料で利用できる電子レンジや飲料水、洗濯乾燥機、消毒キャビネット、ミルクウォーマーなどを備えている。行動が不自由な高齢者にはいつでも座って休憩できる専用のショッピングカートを用意している。

従業員に対しては、毎週火曜日の定休日と年次休暇制度により休息時間を確保しているほか、会社の利益の大部分を従業員の福利厚生に使用し、地域で比較的高い水準の賃金を確保している。このような企業文化の下、十分なリスペクトと支援が得られている従業員たちの帰属意識と忠誠度はますます高まっている。

河南師範大学商学院の劉英基院長は胖東来の成功について、一貫して顧客至上の原則を持ち、その理念を経営プロセス全体で徹底していることによるものと分析している。高い給料、充実した福利厚生、確かな商品品質、納得のいくサービスなどにより、ネットユーザーからも、「神仙会社」(完璧で理想的な会社、神企業)と称賛されている。

絶えずやって来る地域外からの観光客に加えて、通常なら観光地でしか見られないような「旅行団」、「研修団」までもが訪れるというのも、胖東来ならではの光景になっている。旗を掲げ、マイクを持ちながら胖東来の紹介を制服姿のガイドの後をついてきた観光客たちが、興味深そうに話を聞く姿も見られる。許昌市文化・観光部門によると、今年の元日連休期間(2023年12月30日~24年1月1日)に同市中心地域にある胖東来7店舗を訪れた人の数は延べ100万人近く、1店舗平均14万人余りで、うち75%以上が他所からの観光客だったという。鄭州大学文化産業研究センターの汪振軍主任は、胖東来が複合商業施設であるとともに、文化・観光総合施設でもあるとの見方を示した。

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三国時代の曹魏の都城である許昌は、三国志ファンが必ず訪れるべき場所の一つとなっている。そしてこの地にある胖東来も、観光客が許昌を訪れるもう一つの理由になりつつある。(新華社)

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