AI搭載の学習端末、アリババから40億円超の資金調達 目指すは「AI教師による適応学習」

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AI搭載の学習端末、アリババから40億円超の資金調達 目指すは「AI教師による適応学習」

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AI技術を活用した教育ツールを開発する「精准学(Jingzhunxue)」はこのほど、アリババグループから2億元(約44億円)を新たに調達した。資金はサービスの研究開発とプロモーションに充てられる。

精准学は2018年設立、個々の学習者にぴったりの学習内容を提供する「アダプティブラーニング(適応学習)」をAI技術で実現することが目標だ。これまで主要サービスとしてAIを活用した「誤回答集(誤回答したものをまとめて記録したもの)」を提供してきた。数多くのコーパス、問題データベースを網羅し、それらにタグをつけ、知識体系を構築したものだ。子どもが問題を解くと、AIが回答を分析し、子どもの不得意な部分を見つけ出して、再度同様の問題を出してくれる。

2023年に生成AIブームが巻き起こり、同社もサービスを見直し始めた。アリババの大規模言語モデル(LLM)「通義千問(Tongyi Qianwen)」を基に、独自にLLM「心流知鏡」を開発。さらにこれをベースとしたAI教育アプリを開発し、端末に搭載した。今年6月、AI搭載型学習端末「Bongシリーズ」をリリースし子どもたちへサービスを提供し始めた。

精准学の楊仁斌CEOは誤回答集について、一人ひとりが学習で苦手とする部分をAIによって強化するものはあるが、ツールに過ぎず、学びへの意欲を引き出すことはできないと考えている。親や教師がいなければ、子どもは学習端末を使っても、すぐに集中力が切れたりでたらめな回答をしたりするなど効率が低いためだ。生成AIを基にした学習端末であれば、人間の「教師」に近い形で次に何をすべきかを示し、学びを後押しする役割を担ってくれる。

LLMが人の意図を理解する能力を飛躍的に高めたことにより、「AI教師」は子どもの言葉や口ぶりから、子どもの状態や理解度を把握できるようになった。子どもがでたらめに答えたり、注意散漫な時は、AI教師が声かけを行い、教え方を切り替えることで、子どもの興味を引くようにする。

では実際の学習方法はどのようなものか。まず、端末上でボタンを押すのではなく、人と会話するようにAI教師とやり取りできる。学習プログラムの最初に、AI教師は子どもに学習ポイントを聞いたり問題を出したりする。簡単なやりとりを通じてAI教師は子どもの理解度を把握する。その後、AIが自動で学習カリキュラムを組み、練習問題をいつ解くか、AIの解説をいつ聞くか、学習動画をいつ見るかなど具体的な進め方も決めてくれる。学習方法に効果が見られない時は、すぐにゲームや動画視聴を通じた学習など別の方法に切り替えて、しっかり内容を理解できるようサポートする。

目下、中国では教師が不足している。教師1人で平均50人の生徒を指導しているため、生徒それぞれの理解に合わせたきめ細やかな指導をするのは難しい。同社の学習端末はこの部分を補ってくれる。また、親もスマートフォンで子どもの学習状況を把握できるため、親にとってもメリットが大きい。

類似サービスが数多くある中で、競争力に差をつけるのはデータだと楊氏は考える。精准学は過去6年間に、数千万におよぶ問題データベース、子どもの行動データ、16万の教育音声といったデータを蓄積してきた。これらのデータによりAIが生成するコンテンツの精度が向上し、ユーザー体験の差別化につながる。

精准学の目標について楊氏は「中国のすべての子どもに自分専用の学習端末を持ってほしい」と語っている。

*1元=約22円で計算しています。

(翻訳・井上秋奈)

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