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中国のスマートコンビニ「便利蜂(Bianlifeng)」は2017年2月に1号店をオープンたチェーン店だ。同年9月にプライベートブランド(以下PB)商品の開発責任者を任命し、11月にPB商品ブランドの「蜂質選」を発表した。この素早い動きからPB商品を早期に開発しようとする強い意志が見て取れる。
PB商品開発責任者の趙鵬氏によると、 蜂質選ブランドは現在菓子類、飲料、日用雑貨、インテリア商品など19カテゴリーの商品を展開しており、SKU数は100-200だ。なかでも乳製品に力を入れており、乳製品全体の20%以上がPB商品であり、牛乳に限って言えばPB商品の割合が1/3を超えている。
では、便利蜂はどのようにPB商品を開発しているのか。中国では小売企業の80%以上がPB商品10%未満という現状の中、便利蜂は成功を収めることができるのだろうか。
2年間で100-200SKUを開発した蜂質選
従来のコンビニと比べ、便利蜂はよりインターネット企業に近く、デジタル化を重視している。これは、実店舗のデジタル化を進めているアリババ傘下の生鮮食品スーパー「盒馬(hema)」と同じだ。
しかし、コンビニはスーパーよりも商品を絞り込み、差別化を図っていかなければならない。そこで、便利蜂は蓄積したビッグデータを陳列商品の選定や、PB商品の開発に生かそうとしている。デジタル化による商品選定により、便利蜂は従来のコンビニと差別化を図ることができ、PB商品の開発の幅も広がっている。蜂質選の目標は「全カテゴリー」だ。
開発する商品が決まると、便利蜂はサプライヤーを選び、共同開発や発注を行う。商品の選定、サプライヤーの決定、社内での商品確認などの段階を経て、約6カ月でPBの新商品が発売される。発売後は販売データから売れ行きが予想と合っているかどうかを確認する。
この時点で特定の店で販売が振るわなくても、すぐに販売を中止することはない。店舗それぞれに異なる特徴があり、同じ商品でも売れる店と売れない店があると便利蜂は考えているためだ。販売の中止ではなく、パッケージや味の改良をすることのほうが多い。
蜂質選は2年間でSKUが100-200に達した。趙鹏氏は中国国内のコンビニとしてかなりの優位性を持っているとの認識を示すが、それでもまだまだ日本のコンビニから学ばなければならないと語る。
現在、セブンイレブンが提供しているPB商品のSKUは約5000に上り、1店舗あたりのSKU数平均2900のうち、PB商品が60%以上を占める。食品カテゴリーでは70%近い。したがって、セブンイレブンを目標とした場合、便利蜂のPB商品はまだまだ成長の余地があるといえる。
デジタル化による独自商品
弁当や惣菜の開発において、日本のコンビニはさまざまなノウハウを培ってきた。この分野で便利蜂が差別化できるのは、より中国の消費者の好みを理解していることと、より迅速な意思決定ができることだ。
趙鵬氏は今年のヒット商品である「黄燜雞(とりの土鍋煮込み)」を例に挙げた。中国のほかのコンビニでは販売されておらず、便利蜂の完全オリジナル商品だという。
日本でも有名になりつつある蘭州ラーメンなど、中国では、人気の地方料理を模倣する店が各地で人気を得て、瞬く間に広まっていく例が多数ある。黄燜雞もその一つだ。しかし、コンビニのセントラルキッチン方式では、これまで黄燜雞の味を再現することができなかった。
便利蜂は全国区の人気料理である黄燜雞をコンビニでも販売しようと、この難題に取り組んだ。研究とテストを重ね、ようやく満足のいく味に仕上がり、商品化にこぎつけたのだ。
趙鹏氏によると、惣菜をコンビニで提供するためには、サプライチェーンを構築よりも、大量生産の状態で味を保つことのほうが難しい問題だという。このカテゴリーではデジタル化の効果が顕著に出ている。蓄積したデータから消費者の好みを確認できれば、生産が難しくても確信を持って全力で取り組むことができるためだ。
低価格かつ高品質
同種類の商品と比べると、PBブランドである蜂質選の方が安い。これは多数の店舗で同時に販売できることによるスケールメリットと、流通コストを減らすことができるためだ。
しかし、便利蜂は価格よりもPB商品のブランドとしての影響力を大事にする。そのためには品質を追求しなければならない。PB商品における便利蜂の中核理念は、「価格が安いだけでなく、品質も良い」ことだ。
この考え方の裏には、便利蜂が早期にPB商品の評価を確立させたいという思惑がある。低価格かつ高品質の商品で消費者の認知度を挙げることで、リピート率を高めることができる。PB商品にとって、価格よりも消費者に認めてもらうことのほうが重要なのである。
(翻訳:小六)
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