次世代ディスプレイ「OLEDoS」で約100億円を調達 中国スタートアップが生産拡大を加速

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次世代マイクロディスプレイ技術「OLEDoS」を手がける中国スタートアップ企業「宏禧科技(Hongxi Technology)」が、シリーズAラウンドで約5億元(約110億円)の資金調達を実施した。出資には、安徽省智能家電家居産業基金や国芯創業投資などが参加。調達した資金は12インチOLEDoSディスプレイの生産ライン拡張や研究開発、人材採用に充てられる。また、安徽省滁州市に子会社を設立し、生産能力の拡大を図る計画だ。

宏禧科技は2019年7月に設立され、中国の「国家高新技術企業」に指定されたハイテク企業である。同社は「Metaways」ブランドで、人工知能(AI)を搭載した仮想現実(VR)・拡張現実(AR)・複合現実(MR)デバイスやデジタル一眼レフカメラのファインダーなどに活用されている。現在、AR・VR・MRデバイスのメーカーや光学モジュールのサプライヤーを主要顧客としている。

OLEDoS(OLED on Silicon)は、シリコン基板上にOLED(有機EL)の回路を形成した新しいディスプレイ技術で、高い画素密度や集積度、小型化を実現しやすいことから携帯性に優れている。また、耐震性が高く、超低消費電力で大画面を鮮明に表示できる点も特徴だ。

現在、消費者向けのVR・MRデバイスの8割以上は従来型の液晶ディスプレイ(LCD)が使用されている。その中で米アップルが発売した空間コンピューティングデバイス「Vision Pro」は、VR・MRデバイスとしては初めてソニー製のOLEDoSマイクロディスプレイを採用し、業界のベンチマークとなった。これを機に、多くのメーカーがOLEDoS技術を採用した製品の開発を進めており、サムスンディスプレイもRGBピクセルを蒸着させたOLEDoS(RGB OLEDoS)の開発を発表している。

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ハイテク産業調査会社TrendForceによると、2024年にリリースされたARデバイスの54%にOLEDoSマイクロディスプレイが採用されており、コストや市場性も考慮すれば、AR・VR・MRデバイスのいずれにも適した技術とされている。

宏禧科技は、集積回路(IC)を独自に設計し、大手ウエハーメーカーと提携している。中国で12インチOLEDoSディスプレイの量産ラインを持つわずか4社のうちの1つとして、同社はOLEDoSの生産技術の開発と改良を進め、歩留まりの安定化に成功している。

同社は2020年に12インチディスプレイの生産ライン建設を開始し、23年に量産化を実現した。さらに、23年時点で0.6インチ(フルカラー)、0.7インチ(フルHD)、1.33インチ(4K)のOLEDoSマイクロディスプレイの生産を開始している。今後は、OLEDoSマイクロディスプレイの供給を業界全体に広げていく方針だ。

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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