3D生成AI「Rodin」がリリース45日でARR100万ドル突破、開発元「Deemos」は数十億円調達

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

スタートアップ注目記事

3D生成AI「Rodin」がリリース45日でARR100万ドル突破、開発元「Deemos」は数十億円調達

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

3Dモデルを作成する生成AIを手掛ける「影眸科技(Deemos Technologies)」がこのほど、シリーズAで数千万ドル(数十億円)を調達したと発表した。生活サービス大手・美団(Meituan)傘下の美団龍珠やテック大手のバイトダンス(字節跳動)が出資を主導し、既存株主の紅杉中国(Hongshan)傘下の基金や奇績創壇(MiraclePlus)が参加した。今回の資金は3Dに対応したAIモデルの最先端の研究や、3D生成AI「Rodin」を中心とするプラットフォーム「Hyper3D」のサービスをグローバル市場で商用化するために使われる。

【日本進出特集】超高精度を誇るデジタルヒューマン開発の「Deemos」、「東アジア人顔」を強みに拡大

AIの生成したコンテンツが世界中で大ブームになっているとはいえ、現在主流のAIツールは主に画像や動画など2Dコンテンツを生成するものだ。技術的な課題がクリアできておらず、ChatGPTのようなインパクトのある3D生成AIの登場には至っていない。一定の水準に達する3Dコンテンツを生成するには、スピードやクオリティ、3Dグリッドの構造、トポロジー、UVマッピング、テクスチャの解像度など、より複雑で厳格な基準を満たす必要がある。

Deemosの創業者である呉迪氏によると、AIが生成する3Dモデルのクオリティは新たなレベルにステップアップしたが、生成効果はまだ実用レベルにはなっていないという。技術的な難関を突破するため、Deemosは他社とは異なる方法を選択した。多くの企業が採用している「2D画像を経由して3Dを生成する」技術とは異なり、テキストプロンプトから直接3Dを生成する技術、つまりAIモデルの学習から生成までをすべて3Dで実施する方法を選んだ。この結果、Rodinのリリースは他社から半年ほど遅れたものの、生成効果はひと世代先にまで進んだ。

Rodinはリリースからわずか45日でARR(年間経常収益)が100万ドル(約1億5000万円)を突破し、AI分野のスタートアップ企業では数少ない商用化の成功例となった。これは市場の3D生成技術に対する高いニーズを反映したものだ。ゲームやエンタメ、映画や動画、建築、AEC(建築、建設、施工業界)などの分野だけでなく、メタバースやバーチャルリアリティ、エンボディドAIなど、近年新たに登場した応用シーンが目覚ましく発展するのに伴い、3Dコンテンツの需要は爆発的に増加している。

3D生成技術は世界中で進化が加速している。米メタの「3D Gen」やグーグルの「Genie2」、NVIDIAの「Edify 3D」などは、それぞれ異なる分野で3D生成のポテンシャルの大きさを示している。中国でもネット大手のテンセントが「Hunyuan3D-1.0」をリリースするなど、競争が次第に激化している。

DeemosのRodinは、生成された3Dモデルがそのまま後に続くプロセスに実装できるような状態にする「Production Ready」という考え方を重視している。これにより製品の実用性が向上しただけでなく、Deemosは市場における優位性を手に入れた。現在、Deemosの事業は米国、欧州、日本、韓国などに広がり、売上高の70%は海外市場だ。なかでも欧米市場が最も大きな割合を占めている。

Deemosは、3D生成技術がこの先も大きく発展すると考えている。今、3D技術の活用はゲームや動画制作、EC、工業デザインなど法人向け分野に集中しており、消費者向けにはそれほど広がっていない。しかし3DプリントやAR・VRなどが発展、普及するにつれ、消費者向け市場が急激に拡大する可能性がある。

呉氏は、技術が成熟すれば、一般ユーザーも日常的に3Dモデルを生成しシェアするようになり、さらに文字や画像、動画と同じくらい普及するだろうと指摘した。

*1ドル=約150円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

36Kr Japanで提供している記事以外に、スタートアップ企業や中国ビジネスのトレンドに関するニュース、レポート記事、企業データベースなど、有料コンテンツサービス「CONNECTO(コネクト)」を会員限定にお届けします。無料会員向けに公開している内容もあるので、ぜひご登録ください。

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録