【日本進出特集】超高精度を誇るデジタルヒューマン開発の「Deemos」、「東アジア人顔」を強みに拡大

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【日本進出特集】超高精度を誇るデジタルヒューマン開発の「Deemos」、「東アジア人顔」を強みに拡大

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現在中国ではバーチャルキャラクター、デジタルヒューマンを扱うスタートアップ企業がいくつも登場し、銀行などの受付端末や、ニュースキャスター、ライブ配信・ライブコマース、コマーシャルなどで導入が進んでいる。「影眸科技(Deemos Technologies、以下Deemos)」はリアルなデジタルヒューマン作成を実現する顔スキャンが得意な企業だ。

独自技術で超高精度の顔面スキャンを実現

Deemosは上海科技大学のインキュベーションプログラムから誕生し、2020年に設立された。創業メンバーは同大学でマイクロメートルレベルで肌の毛穴まで撮れる顔面をスキャンできるシステム「Plenoptic Stage」を開発し、知的財産権を取得した。

同システムは超高精度・超高スピードで動態スキャンを実行したり、表情が変化する際の筋肉の動きをとらえたりできる。出力される画像サイズは16Kの超高解像度にもなり、映画館で視聴者が見ても、それがCGだと気づかずホンモノの人間と見間違えるほどの画質となる。実際に中国で話題になった映画「流浪地球2」の制作にも関わった。

「Plenoptic Stage」の導入実例として、同社はCTO自身の顔をスキャンしデジタル再現し、リアルに表情を変えながら語るサンプル動画を用意している。顔の全体像が見える状態でもリアルだが、近くまで迫ったものでも肌の様子や眉間のしわや髭剃り跡などを見ても、バーチャルヒューマンとは思えないレベルで再現している。この映像を見ると中国でも多く活躍するデジタルヒューマンがまだまだ非常にCG的にべったりしたものに見えてしまうだろう。これほどのクオリティなので、スマートフォンやパソコンやアンドロイド搭載情報端末向けではなく、また最新のゲーム機でもそのままでは活用はできない。

世界人工知能大会2023のプロモーションビデオ

日本でも同様のカメラを多数配備した撮影システムが開発され運用されている。Deemosのハードウェア事業責任者である曹瑞翔氏は36kr Japanに対し「さらに次世代レベルの映像品質を提供できる」と語る。撮影後についてはそのまま納品せず人の手による調整が必要となるが、このプロセスにおいて同社はより手作業が少ない映像へと自動ソフトウェアで加工することにも強みがある。上海や北京や青島にある同社のスタジオで撮影が可能で、日本から利用するというケースにおいても「上海に午後に到着し、翌日データをもらって帰国することができるくらい時間はかからない(曹氏)」といい、スピードにも自信を見せている。

このようにDeemosは最新の映画製作でも十分耐えうる顔スキャン技術が武器だ。そうはいってもそこまでハイスペックな出力を求めるニーズは中国で映画の大作が矢継ぎ早に制作されるわけでもなくそうそう発生しない。

そこで超高解像度デジタルヒューマンを技術サンプルとして見せつつ、より一般的な情報機器での再生を目指したコンパクトなサービスを提供している。写真を数枚用意するだけで3D化した映像を素早くリアルに制作するというもので「これを利用する顧客は多くいる(曹氏)」という。同社の顧客はECや金融系、広告系が大半で、制作したデジタルヒューマンはライブコマースなどで活用されている。映画品質のフラッグシップモデルを出しているだけに、ライトな低解像度版についても高い品質に優位性がある。

日本ならではの事例創出を目指す

現在、Deemosは日本進出に強い関心を持っている。具体的には日本市場に向けた同社の撮影システム利用推進に加え、パートナー企業を探したいと考えている。

日本進出の背景には顔づくりのノウハウも含まれる。これまで中国国内市場向けにいっぱい実績を作り上げてきたことから、東アジア系のデジタルヒューマン制作には強い。日本も中国も同じ東アジア系の顔なので、欧米系の企業よりもより違和感のない顔の仕上がりとなり、日本人向けにもより自然なサービスが提供できるという。

一方、ハイスペックな顔スキャンシステムを開発し、超大作映画制作で活用されたはいいものの、システムの使い道についてはハイスペックすぎるためまだまだ模索段階だ。

日本は昔からデジタルコンテンツ作成に強いことから、Deemosはゲーム大手や映像制作などコンテンツ作成に強い企業と提携し、日本ならではの事例を創り出したい、言い方を変えればDeemosの想像もつかない使い方を提示してもらい、日本の事例から学び、システムを活用していきたいという狙いがある。そのために曹氏は「日本でのサービス展開の初期段階ということもあり、世界的な競合企業よりもかなり安く提供する」と語った。

※36Kr Japanでは、日本進出に意欲の高い中国スタートアップ企業にクローズアップしています。この度、独自に募集した日本市場に関心ある100社近くの企業の中から、注目すべきスタートアップを厳選し、今年5月にオンラインにてピッチイベントを開催しました。

今回の特集で紹介する企業は、日本のパートナーとの積極的な連携を望んでいます。今後、日中間のオープンイノベーションや日中協業の促進のため、36Kr Japanは継続的にイベントを行いますので、ぜひご注目ください。

(作者:山谷剛史)

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