シャオミ、2億画素ライカカメラの旗艦スマホを日本投入 「Xiaomi Store」も初出店で本格攻勢

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シャオミ、2億画素ライカカメラの旗艦スマホを日本投入 「Xiaomi Store」も初出店で本格攻勢

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中国スマートフォン・IoT家電大手の小米集団(シャオミ)の日本法人は3月13日に、フラッグシップスマートフォン「Xiaomi 15 Ultra」の日本での発売を発表した。価格は17万9800円からで、これまで「コストパフォーマンス重視」のブランドイメージを転換し、高価格帯モデルで新たな市場を切り開く構えだ。

日本法人の鄭彦副社長は「カメラ機能を重視するユーザーに売り込みたい」と語った。3月2日のスペイン・バルセロナでのグローバル版の発表から日を置かずに日本市場に投入したが、日本独自機能のFeliCa(おサイフケータイ)には非対応で、大手通信キャリア経由の販売も行わず、早期の発売を優先したという。

Xiaomi 15 Ultra

欧州より25%安の価格設定

Xiaomi 15 Ultraはカメラを独ライカと共同開発した。望遠のカメラに2億画素のセンサーを搭載し、前モデル「Xiaomi 14 Ultra」からバージョンアップした。ただ、バッテリーについては、中国国内版は5000mAhから6000mAhにグレードアップしたのに対し、日本を含むグローバル版は5410mAhにとどまった。空輸の際の規制などを考慮したという。

価格は16GB+512GBモデルが17万9800円、16GB+1TBモデルが19万9800円。一方で、欧州では1499ユーロ(約24万円)からで、約25%安い価格での投入となる。事前に20万円を超えるとの予想が多かったが、鄭副社長は「コストを抑え、物流・サプライチェーン(供給網)を最適化した」と背景を説明した。昨年のXiaomi 14 Ultraの販売が想定を上回ったことなども、日本市場での価格を決める要因になったことを示唆した。

また、これまで日本では前モデルを投入してこなかった「Xiaomi 15」も12万3000円からで投入した。コンパクトながらライカと開発したカメラを搭載し、創業者の雷軍会長も愛用しているとされる機種で、日本市場を重視している姿勢をうかがわせた。

Xiaomi Storeで展示されたXiaomi 15シリーズ

高価格商品の販売の切り札

シャオミは3月22日に、さいたま市のイオンモール浦和美園に日本初の常設店舗「Xiaomi Store(シャオミ ストア)」を開設した。第1号店オープンの式典に出席した東アジア地域を担当する李剛健ゼネラルマネジャーは、「シャオミの技術の楽しさを感じてもらえるように、日本全国に展開していく」とあいさつした。4月5日にはイオンモール川口(埼玉県川口市)に2号店を開店する。

イオンモール浦和美園にできた第1号店オープン式典

シャオミは世界中で約1万5000店舗を展開しているが、李氏は「年末には2万店に近づくだろう」との見通しを示した。「Humman×Car×Home(人×車×家)」というビジョンを掲げ、自社の店舗内で、スマホと自動車、IoT家電が連動したサービスを体験してもらい、一体的に販売する戦略を打ち出している。

記者会見中の日本法人の鄭彦副社長

シャオミは2024年4~6月期に、日本市場における販売台数を大幅に伸ばし、自信を深めた。キャリアの販売網で、安価なモデルが受け入れられたのが主な理由だ。李氏はインタビューで、日本でのさらなるブレークスルーには、高価格帯のモデルや、家電の販売を伸ばしていく必要があると指摘し、実際に性能などを確認してから購入できる実店舗を切り札として活用していく方針を示した。

出店先としてイオンモールを選んだ背景には、ファミリー層を顧客に抱え、家電販売との親和性が高いとの判断がある。年内に5~10店舗を展開する方向で、最初は首都圏に開店し、全国に拡大していく。郊外型の店舗が多いイオンモール以外の出店も検討しており、李氏は「まず、イオンモールから開店していくが、その後はオープンな立場で、東京や大阪の中心部などもシャオミのファンがいるところには店を出す」と強調した。

東アジアリージョン ゼネラルマネージャー 李 剛健(Andrew Li )氏

イオンモールの坪谷雅之取締役も「全国に適当な場所があればどんどん紹介していく」と積極姿勢だ。ファミリー層の「生活の一部に入り込める」と述べ、シャオミとの相乗効果に期待感を示した。

Xiaomi Storeでの家電販売

日本でのEV展開に不透明感

シャオミの盧偉氷総裁は「モバイル・ワールド・コングレス(MWC)」の発表会で、2027年に海外での電気自動車(EV)の販売に乗り出す計画を明らかにした。

これについて、李氏は「EV事業はまだ初期段階で、中国国内の大きな需要にも対応し切れていない。海外進出はすぐに大規模にはならない」とした上で「まだ研究段階だが、もちろん、すべての海外市場を模索していく」と説明した。

ただ、そこに日本が含まれるかについて、日本法人側でも鄭副社長が、日本はEVの充電インフラ整備の遅れなど懸念が多いことに言及。自動車も含めたフルセットのXiaomi Storeが日本にお目見えするかどうかには、まだ不透明感もある。

EV販売も含めた中国のXiaomi Store(上海環球港汽車体験店)

今回の実店舗の展開で、シャオミはこれまで、日本市場でシェアを高めてきた安価なスマホに依存するモデルからの脱皮を図っているようにも見える。運営費用などでコスト上昇の要因にもなり得る自前の店舗網の構築や、高価格帯商品の展開に乗り出しており、シャオミブランドが日本で本格的に存在感を高められるかどうか、正念場を迎える。

中国シャオミ、過去最高の売上・純利益を記録 EV事業好調で25年販売目標を35万台へ上方修正

*1ユーロ=約161円で計算しています。

(36Kr Japan編集部)

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