最大積載1トン、航続1000km。中国初レンジエクステンダー型eVTOL、年内試験飛行予定

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中国の電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカー「藍霄航空科技」がこのほど、エンジェルラウンドおよびその追加ラウンドで数千万元(数億円超)規模の資金を調達した。出資には聯想之星(Legend Star)、海益投資(Haiyi Investment)、戈壁創投(Gobi China)などが参加した。調達資金は、製品開発に用いられる。

レンジエクステンダーeVTOLで航続距離の課題を解消

藍霄航空は2024年6月に設立された。中国で最初に長距離飛行が可能なティルトローター式レンジエクステンダー型eVTOLの開発に着手したメーカーだ。現時点では、既存の貨物輸送市場における「航続距離の制約」を解消することを最優先とし、旅客向けモデルの投入は今後のタイミングを見て判断するとしている。今後はティルトローター技術を核に、eVTOLの商用化を多用途で実現する方針だ。

同社は初の貨物用無人eVTOL「LX-1」の設計をほぼ完了しており、まもなく組立と調整の段階に入る見通しで、年内の試験飛行を目指して準備が進められている。

LX-1は、ティルトローター構造とレンジエクステンダー駆動の技術ソリューションを採用している。創業者の王剛CEOは、ティルトローターは効率性と信頼性を兼ね備えた技術で、離陸重量が1トンを超える機体においてコストパフォーマンスがさらに向上すると説明した。

また、eVTOL業界で主流となっている純電動ではなく、発電機を用いてバッテリーを充電するレンジエクステンダー方式を採用している点も特徴だ。これにより、LX-1は最大離陸重量2.5トン、最大飛行時間5時間以上、航続距離1000キロメートル、最大積載量1トン近くを実現できる。

貨物用レンジエクステンダーeVTOL市場で、現在最も高いスペックを誇るのは、米Traverse Aeroが開発した無人eVTOL「Orca」だ。航続距離はLX-1と同等の600マイル(約965キロメートル)に上るが、積載量250キログラムにとどまるため中型機に分類される。一方、LX-1は積載量700キログラムで大型機として位置づけられる。

低空貨物輸送のエコシステム構築へ、技術開発と商用化を加速

市場調査会社QYResearchは、世界の物流向けeVTOL市場は2024年の2億400万ドル(約290億円)規模から年平均成長率35.7%で拡大し、31年には16億8200万ドル(約2400億円)を超える規模になると予測する。eVTOLは、緊急救援や医薬品輸送など特殊用途にも対応できるため、市場が広がる余地は非常に大きい。

航空貨物輸送では常に「時間効率とコスト」の最適なバランスが求められる。LX-1は、低空貨物輸送の時間効率を高めつつコストを下げることに注力した。同社の試算によると、例えば湖北省襄陽市から河北省唐山市までの飛行ルートで、LX-1なら所要時間を業界平均に比べ8分の1から10分の1に短縮でき、トンキロ当たりの輸送コストも60〜70%に抑えられるという。

藍霄航空は今後、都市間輸送のみならず、島しょ部や山間地、長距離ルートや短距離ルートなどさまざまな貨物輸送シーンの開拓を強化していく方針だ。技術の革新と運営の最適化を通じて、効率性が重視される貨物輸送にコストパフォーマンスの高いソリューションを提供し、「低空経済」の新しいエコシステム構築を目指す。

*1元=約20円、1ドル=約142円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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