ロボットハンド「OYMotion」、3ヶ月で2度目の資金調達 触覚モデル投入へ、日本市場も本格展開

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ロボットハンドの研究開発を手がける中国スタートアップ「傲意信息科技(OYMotion Technologies)」(以下、OYMotion)がこのほど、シリーズB++で約1億元(約20億円)を調達した。英飛尼迪資本(Infinity Equity Management)と国有企業ファンドの浙江省発展資産、沃美達資本(Womeida Capital)が共同で出資した。

今年初めにシリーズB+で約1億元(約20億円)を調達後、3カ月足らずでの新たな資金調達となった。今回の資金は、ロボットハンド技術の研究加速や新製品の市場投入、生産能力の拡充、市場開拓などに使用される。

OYMotionは2015年に設立され、ロボットや脳科学技術に注力し、ロボット・AI・神経インターフェースの3つを統合した独自の研究開発プラットフォームを構築してきた。主力製品には、エンボディドAI(身体性を有する人工知能)や産業オートメーション化用のロボットハンド「ROHand」、バイオニック義手「OHand」、神経機能損傷による手の運動障害に対応する指関節用外骨格の3つがある。

創業者の倪華良氏は、ロボットハンドの開発ではエンボディドAI用も医療現場用も、性能やシステムの安定性が求められるだけでなく、コストも考慮すべき重要な問題になるため、創業当初からアルゴリズムやコア部品の自社開発を進め、コストを最小にするソリューション追求してきたと語る。

手を失った人向けに設計されたバイオニック義手・Ohandの場合、独自開発した非侵襲性の表面筋電位(SEMG)信号センサーなどの技術を採用し、ユーザーの手の動きの意図を感知して、握る、指でつまむ、指さす、載せる、提げるといった基本的動作ができる。

倪氏は、「バイオニック義手を必要とする人たちの経済力には限界がある。そこで私たちは、まず中国国産のコア技術を採用し、義手1点の販売価格を10万元(約200万円)以下に抑えた。製品は従来の代理店経由で販売するほか、障碍者団体・上海市残疾人聯合会の補助対象製品に登録され、中国残疾人聯合会による補助が受けられる数少ないスマート補助器具のひとつとなった。すでに上海市で利用が始まり、浙江省などでも取り組みを進めている」と説明する。

バイオニック義手「OHand」

コスト面の強みを武器にOHandを海外展開する計画も進められている。すでに米食品医薬品局(FDA)と欧州CEマーキングの認証を受け、2024年には米国の審査機関であるPDAC(Pricing, Data Analysis and Coding)により医療保険適用が承認された。現在は米国、中東、ロシア、インドなど多数の国や地域で実用化されている。昨年からは、海外の売上高が国内を上回るようになったという。

ロボットハンド・ROHandは主にエンボディドAIを扱う企業を顧客とする。人が装着するときのような神経インターフェースは不要なため、ロボットハンドの研究開発ではバイオニック義手をベースに不要なものを削減していくことになる。

第一世代のROHandは高感度のエンドエフェクタで、自由度は11、外観や機構を可能な限り人間の手に近くした。可搬重量は指1本で10キロ、片手で30キロとなり、エンボディドAIの分野で多くの複雑なシーンに対応できる。

OYMotionが公開した情報によると、ロボットハンドもコスト・性能・安定性をすべて実現している。2024年10月にリリースされてから、海外のエンボディドAI開発企業など多くのロボットメーカーに採用され、出荷数は中国国内のロボットハンドメーカーではトップクラスだという。

神経障害のリハビリ分野では、手の機能障害がある人に向けたリハビリ用の手指関節外骨格を開発した。上海市の24年度「創新医療器械」特別審査で認可され、現在、脳血管障害や末梢神経損傷による手の機能障害という2つの適応症について臨床研究を進めている。

倪氏によると、OYMotionは現在製品のアップグレードと世界展開に力を入れており、全面的に刷新したロボットハンド2種類の発売を計画している。そのうちのひとつ、触覚を備えた第二世代のロボットハンドが近く発売される予定だ。

また、日本市場への進出も加速している。CMOの王振坤氏によると、約1年にわたり市場を模索しながら、産業用途のユースケースや日本のエンボディドAI企業を対象に展開を進めてきたという。すでに日本を代表する重工業メーカーと提携を結び、複数の自動車関連大手企業からも高い関心を寄せられている。

東京では販売代理店契約を締結済みで、今後は現地の代理店ネットワークを中核に据え、日本市場での事業展開を本格化させていく方針だ。

*1元=約20円で計算しています。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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