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中国版インスタグラムと呼ばれるSNS「小紅書(海外版:rednote)」の評価額が、260億ドル(約3兆7000億円)に急騰した。この数字は資金調達によるものではなく、大株主である金沙江創投(GSR Ventures)の傘下ファンド「GSR IV」の株式売買を示す文書によって明らかになった。ブルームバーグが報じた。
GSR IVが保有する小紅書の株式8.47%の評価額は22億2000万ドル(約3200億円)とされており、これを基に計算すると260億ドルとなり、以前報告されていた200億ドル(約2兆9000億円)から大きく跳ね上がった。
一方、経済メディア「投中網」の報道によると、リミテッド・パートナー(LP)に代わって小紅書の既存株式を買収しようとしている投資家が、小紅書の実際の評価額は300億ドル(約4兆3000億円)まで上がっている可能性を指摘している。評価額350億ドル(約5兆円)の提示もあったが、それでも「売り手がいない」という。
GSRのパートナーである朱嘯虎氏に確認したところ、350億ドルという評価額について肯定も否定もせず、単に「売却する意思のある株主はいない」と返答をしただけ。
業績は急成長、IPOも始動か
小紅書は2013年に設立されたSNSプラットフォームで、主に広告や電子商取引(EC)事業を通じて収益を得ており、ここ2年で急速に業績を伸ばしている。23年の売上高は約37億ドル(約5300億円)、純利益は約5億ドル(約720億円)となり、初の黒字転換を果たした。22年は純損失が約2億ドル(約290億円)だった。24年のMAU(月間アクティブユーザー数)は3億2000万人、DAU(1日当たりのアクティブユーザー数)は1億2000万人となった。
2025年1月、中国バイトダンスが運営する動画投稿アプリ「TikTok」が、米国で使用禁止の危機に直面した際、大量のTikTok難民が小紅書に流入した。結果的にTikTokの禁止は棚上げとなったが、小紅書に大きな注目が集まるきっかけとなった。
また、中国政府は民間企業を支援すると同時に、テクノロジー業界に対する規制緩和を約束したことで、小紅書のようなプラットフォームに新たな投資機会がもたらされた。
小紅書が、年内にも香港または米国市場に上場する計画だとの見方が広がっている。評価額の上昇で、上場計画にもはずみがつくだろう。ブルームバーグは、未公開株の取引の多くは私的な交渉により成立するため、未上場企業の評価額は変動が大きいと指摘している。
*1ドル=約144円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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