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特殊ロボットの開発を手がける深圳発のスタートアップ「玄創機器人(XUANTRON)」がこのほど、プレシリーズAで東方富海(Oriental Fortune Capital)から数千万元(数億円)を調達した。資金は研究開発や市場開拓に用いられる。
2022年12月に設立された玄創機器人は、特殊ロボットのなかでもメンテナンスロボットと複合作業ロボットを中心に製品を展開しており、石油化学工業や原子力発電、新エネルギー、特殊な工業シーンで活用されている。主な顧客には、万華化学集団や平煤神馬集団、中国石油天然気集団(CNPC)といった大手企業が名を連ねる。
コアメンバーはハルビン工業大学出身者を中心に構成され、同大学ロボット研究所や福建(泉州)先進製造技術研究院の研究成果を技術基盤としている。創業者の傅喆CEOは、工業・製造分野で10年以上の経験を持ち、英国シェフィールド大学とインペリアル・カレッジ・ロンドンで修士号を取得した経歴を有する。
特殊ロボットは、サービスロボットや産業ロボットと並ぶ「三大ロボット分野」のひとつ。特殊環境への適応力や特殊機能を備え、危険・過酷な現場や人間には不可能な作業で活躍する。中国における特殊ロボット市場は着実に拡大を続けており、目下年平均20%以上で成長し、2025年の市場規模は306億元(約6400億円)に達すると見込まれている。
傅CEOは、業界の主流技術として「本体の軽量化設計、複数の移動方式を組み合わせたシャシー、中核となる認識・制御アルゴリズムの高度化」を挙げる。そのうえで、AIロボットの頭脳が進化し続ければ、特殊ロボットが外部環境を認識し、自律的に意思決定する能力も実際の現場で発揮されるようになるとの見通しを示した。
玄創機器人のメンテナンスロボットは、車輪式やクローラ式、レール式といった従来の移動方式を採用しつつも、軽量化など独自のハードウエア設計を導入。コアアルゴリズム面では、垂直特化型モデルとビジョンアルゴリズムを組み合わせ、機械的な安定性とアルゴリズムの効率性を両立させた。
特殊現場向け複合作業ロボットに関しては、特定の産業用途に合わせたAIシステムに重点を置いた。「大脳」にあたる認識・意思決定機能と、「小脳」にあたる運動制御機能を独自開発し、防爆仕様の標準シャシーと組み合わせて優位性を確立している。
現在、主な収益源はメンテナンスロボットだが、傅CEOは「特殊現場向け複合作業ロボットも今後大きく成長する可能性があり、油田・ガス田や基礎化学、精密化学、農業などさまざまなシーンで不可欠な存在になる」と強調する。
共同創業者の曹夢宇COOによると、同社の業績は毎年ほぼ倍増しており、2024年には黒字化を果たした。現時点では石油化学分野に注力し、最大限の性能を発揮できるように設備のアップデートや新技術の導入を進めている。同時に、特殊作業や原子力発電の分野にも継続的に研究開発費を投じ、製品が現場で安定的かつ効率的に稼働するよう力を傾けていくという。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・畠中裕子)
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