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中国の求人サイト「前程無憂(51job)」がこのほど発表した「2026年の新卒採用における人工知能(AI)人材の需要報告書」によると、AI人材の採用を主要目標に掲げるハイテク企業は60%近くあり、金融の40.1%、専門サービス業の26.7%を大きく上回った。
採用枠を見ると、5人以下の企業は65.8%、5~20人は27.1%、20人以上は7.1%だった。ハイテク産業の一部の大手企業とデジタル化をリードする従来型企業は、今後の事業展開に備え、大規模なAI人材の確保を始めている。
AI人材の需要の変化をみると、全体的に拡大傾向にあり、企業の58.2%がAI関連人材の採用を予定し、うち36.3%は採用を「小幅に増やす」、21.9%は「大幅に増やす」、38.8%は「前年並み」としている。大手企業は人材獲得を急いでおり、大規模言語モデル(LLM)や半導体など技術的ハードルの高い分野の需要が急増している。
企業の6割近くでAI技術開発、35.6%でテクニカルサポート関連の新卒に対する需要が増えた一方、20.3%では基本的なカスタマーサービスなど、標準化された、あるいは反復的な雇用枠を削減した。
AI人材を採用する上で中核となる指標に画期的な変化があった。専攻と実践力が最も重視され、数学とアルゴリズムを最重要視する企業は60.3%、実践的プログラムやインターンシップ、または大会経験は52.5%だった。また、「最先端の技術に精通している」は34.6%、「ソフトウエア・ハードウエアの共同開発経験」は30.7%と、AI分野の重要な技術力として、企業が採用する際に重視する注目ポイントとなっている。一方で、「名門校の学歴」を重視する企業は28.8%で、割合は全体の5位にとどまり、実力を伴わない人材は競争力を失いつつある。
LLMブームを受け、AI技術開発分野の給与は中央値が上昇している。アルゴリズムエンジニアは月給2万4760元(約52万円)で1位となり、ディープラーニングエンジニアは2万4466元(約51万円)で2位、自然言語処理(NLP)エンジニアは2万4378元(約51万円)で3位だった。異なる情報をまとめて扱う「マルチモーダル」アルゴリズムエンジニアや、自動運転アルゴリズムエンジニア、機械学習エンジニア、レコメンドアルゴリズムエンジニアはいずれも2万3000元(約48万円)を超えた。一方、AIテストエンジニアは1万3621元(約29万円)、AIトレーナーは8513元(約18万円)と、支援業務人材の給与は中核技術人材との差が大きく、業界が高度技術人材を重視していることが明らかになった。
総じてみると、新卒採用でのAI人材の採用には、「需要の着実な増加、構造の改善、給与に隔たり」という特徴が見られた。【新華社北京】
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