ソーシャルEC「粉象生活」CEOが明かす 「田舎者」の特性とニーズへの理解が成功のカギ

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モバイルショッピング優待アプリで、ソーシャルECアプリでもある「粉象生活(Fenxiang Life)」は、2018年6月のローンチ以来、ユーザーが累積1000万人を超え、GMV(流通取引総額)も約100億元(約1500億円)に達した。ユーザーの利用率は8回/月に上り、長期リピート率は約30%である。同社はプレシリーズAで米VC「DCM」から1000万ドル(約11億円)を調達した。

以下は、粉象生活の李紅星CEOが、「36KrPro·WISEサロン」で語った内容を中心に編集を加えたものである。

誰が消費者たり得るか

私自身も五級都市に分類される田舎の小さな郡の出身だ。つまり私自身も地方市場の消費者なわけである。少し前、帰郷して隣人と雑談していた時、タオバオを知っているか聞いたところ、知っているけど、あまり使わないと言われた。京東について聞くと、「その『東京』っての、俺は知っているけど使わねぇな」と答える。彼は京東と呼ぶことも知らなかった。

彼のような人は私の田舎でもマイノリティではあるが、大局的に見れば、これが中国インターネット人口の大半の意識なのかもしれない。一級都市や二級都市に分類される大都市以外にも、中国には300を超える地方都市があり、群レベルは2856、町レベルは4万以上、村レベルは66万以上もある。これらすべてを合わせると国土面積の何%になるだろうか。確かに一級都市や二級都市は非常に大きい。しかし、そこに住んでいる人口は、全部合わせても4億に届くまい。残りの10億はみな地方に住んでいるのだ。

画像提供:粉象生活

地方市場の消費者の特徴は以下のようにまとめられる:

1. 知り合い社会。何をするにも知り合いを探し、社会が狭く、互いをよく知っている。郡のどこかでプロモーションをやれば、瞬く間にそこの地域一帯に知れ渡るほどだ。

2.安さを追求する。2017年の時点で、中国人口の80%は月収3000元(約4万6000円)に届いてなかった。これは今の時代にソーシャルEC大手「拼多多(Pinduoduo)」が急成長した理由の一つでもある。

3.消費意欲が旺盛。田舎は稼ぎが少ないと思うかもしれないが、事実は正反対だ。田舎の人たちと話すと、彼らは我々都市生活者に比べてストレスが少なく、幸福感も高いと感じるだろう。彼らはいい家に暮らし、子供が生まれた後に大きな出費が必要になることもない。春節に里帰りして同窓会に出席したら、田舎に住む同級生は車を2台も所有していた。

4.暇な時間が多い。彼らは昼は家に帰って食事する。残業する職場はほとんどない。

5.比較的低学歴で、いくぶん判断力に欠け、自分で考える力が弱い。私が一目でフェイクだと分かる広告でも、彼らは広範囲に拡散してしまう。また、いわゆる専門家の話を鵜呑みにしやすい。

画像提供:粉象生活

なぜ今これほど流行?

理由は主に2つある。まず、2015年以降、WechatのようなSNSツール、スマートフォン、インターネットを使ったコミュニケーションが地方都市にも普及し、地方でもネットへのアクセスが増える条件が整った。次に、近年、地方都市のニーズを満たすいくつかのサービスが出現した。動画共有アプリ「快手(Kuaishou)」は彼らの退屈な時間を充足させた。ニュースアプリ「趣頭条(Qutoutiao)」は、暇つぶしをしたい、ちょっとでも得したいというニーズを満たした。ネット通販について言えば、拼多多が代表的だ。

なんでも買えるネット+オススメ情報

地方都市でもWeChat内の「微商(Weishang)」のようなネット通販システムは既にある。では、我々はどうするか。ポイントは2つある。1つはワンストップ・ネット通販、もう1つはオススメ情報だ。

ワンストップ・ネット通販とは、あらゆる物を一つのプラットフォームで購入できるサービスだ。その際、優待価格の豊富な商品ラインナップにサービスも加える。我々は出前対応もするし、出前にも優待割引を付ける。映画のチケットや航空券など、ありとあらゆるモノ、サービスを、1つのプラットフォームに集中させた。

オススメ情報には、KOL(Key Opinion Leader)と言われるような専門知識を持つ人物からの推薦と、ロボットからの推薦の2タイプがある。我々は情報の取得方法が、従来の検索エンジンを使って探す方式から、オススメ情報を受け取る方式に変化し、今後それが主流になると考えている。

さらに、我々が1年以上取り組んできたトラフィックモデルがある。粉象生活には現在1000万人以上のユーザーがおり、ユーザーの一部が会員になっている。そして会員はまた店主でもあり、それぞれのトラフィックで販売や顧客獲得に貢献してくれる。我々は、拼多多からユーザー自身がKOLとなり自ら情報をシェアしてくれることを奨励していく方法を学んだ。グループ購入割引や、アフターケアの充実など、サービス内容が豊富で満足のいくものならユーザーは自ら進んで情報をシェアしてくれる。

もう1つシェアについて語るならば、ここで扱うのは高級ブランド品ではない。高級ブランド品の場合、販売店側から一方的に情報発信がされるだけで、ユーザー側のシェアは引き起こさないからだ。これが我々のモデルだ。この手法による利益率は非常に高く、12カ月経った今も利潤は概ね25%前後をキープしている。

最後に、我々のデータを簡単に紹介する。三級都市、四級都市および周辺農村部の1人当たりの注文数は65%増加、1人当たりのGMVは50%増加し、品揃えでは一級、二級都市に分類される大都市を上回った。地方都市の潜在力は非常に大きいのだ。

画像提供:粉象生活

(翻訳・永野倫子)

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