巨大な中国代替肉市場に熱目線 国内外企業が参入相次ぐ

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代替肉業界の今

代替肉の売りは健康と環境に優しいことの2点だ。

11月16日、アリババ傘下のネット出前サービス「餓了麼(Ele.me)」に、代替肉定食のメニューが追加された。この植物由来の原材料で作られた肉は「OmniPork新豚肉」と命名され、香港のベジタリアンフード、雑貨、外食チェーンの「Green Common」が提供している。「OmniPork新豚肉」は本物の肉と同様な食感と味を目指し、顧客が本物と区別できないことを目標としている。

「OmniPork新豚肉」を使ったパスタ

代替肉メーカーは消費者に大豆の匂いが感じられないよう努力しているが、完全に代替肉と本物の肉の区別がつけられないようにするには、幹細胞で作られる代替肉に期待するしかない。

2013年、世界初の代替肉がオランダのマーストリヒト大学で誕生した。製造方法は動物の筋肉から幹細胞を取り出し、培養液に浸して筋肉組織を作り、最終的に筋肉繊維を作るというものだ。

中国では2019年11月18日に、ようやく南京農業大学が国内最初の動物幹細胞増殖培養技術で製作した代替肉を発表した。しかし、幹細胞で作られた代替肉は、味、食感および栄養価の面で、まだ研究開発の初期段階にあり、多くの技術的な問題が存在する。そのうえ、コストが高く、商品化まではまだ時間がかかる。

一方、技術的により簡単でコストも低い植物由来の代替肉の開発は、急速に進み、比較的成熟した産業チェーンが形成されている。ただし、中国国内のサプライヤーはまだ少なく、現時点では、創立まもない「珍肉(Zhenmeat)」と「Starfield」の2社しかない。また、関連技術も未熟で、投資する者も少なく、高価な設備と研究開発への投資ができていないことが課題になっている。

代替肉を買ってみないか

最近の中国人の栄養と健康状況のモニタリング調査で、中国の成人の約3人に1人がオーバーウェイトであり、9人に1人が臨床医学的に肥満状態となっていることがわかった。

この状況を背景に、代替肉は発売され、健康食品として世の中に打ち出されている。最近のフィットネスブームも中国人が健康にお金と時間をかけたいということの現れだ。

健康や環境への配慮を求めるホワイトカラーが、代替肉の長期的な潜在顧客と位置づけられている。現時点では好奇心もあって、購入者はベジタリアンや環境保護主義者にとどまらず、料理評論家や肉食の愛好家たちも代替肉に対する興味は高いようだ。11月25日、OmniPorkの人工豚肉が初めてアリババ傘下のECサイト「天猫(T-Mall)」で発売された。価格は230gで28元(約440円)だ。

価格設定は本物の豚肉より3倍近く高いが、ECサイト「タオバオ(Taobao)」のGreen Commonのフラッグシップストアでは、同商品が4000点以上売ている。

目新しさにより一部の消費者が動いたが、中国では,まだ欧米のようなベジタリアンフードのブームでないため、その高い価格が今後、販売の障壁になるだろう。ティードリンクやパンなどの流行しやすい食品に比べ、代替肉は明らかに大衆に受けいられる特質に欠けている。

よって、サプライヤーにとっても店舗にとっても、代替肉を売るためには、まず消費者教育が重要だと言える。

海外では、バーガーキング、ネスレ、マクドナルド、ケンタッキーなどが既に代替肉商品を展開し始めており、中国進出も計画されている。

米国食品スタートアップ「Impossible」の植物由来の代替肉ハンバーガー

国内企業も動き出した。11月15日に、中国のティードリンク専門店「奈雪の茶(NAYUKI)」が深圳の店舗で3種類の代替肉メニューを出した。原材料は代替肉メーカーのStarfield社から供給されている。これは国産の代替肉と中国資本の外食チェーン店の初めての提携である。

代替肉の分野では、多くの出資者がまだ様子見の状態だ。

危機的な地球温暖化を背景に、中国では、環境保護主義が謳われ、健康的なライフスタイルを求めるベジタリアンブームが起きた。ほかにも、動物保護主義者の食肉処理場への反発、中国の個人所得の向上、豚コレラによる豚肉価格の高騰や豚肉の安全性に対する懸念などが、代替肉の台頭の要因となっている。

しかし、代替肉のビジネス化には不確実性もある。例えば、伝統的な食習慣を変えることは難しく、代替肉の普及に関するPRも少ないため、消費者に代替肉を受け入れてもらうのは簡単ではない。その上、関連する政策もまだ定まっていない。

代替肉は潜在的には有力な市場でありながらも、大規模なビジネス化を図るためには、まず消費者に新しい消費習慣を身に着けさせる必要がある。

(36Kr Japan編集部)

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