テンセント、オフィス向けIT機器レンタル「小熊U租(Bear Rental)」に8億円を出資

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オフィス向けにIT機器のリースサービス等を行っている「小熊U租(Bear Rental)」が、シリーズCでテンセントから資金を調達した。関係者によると、出資額は少なくとも5000万元(約7億8000万円)、資金調達後の小熊U租の評価額は約20億元(約310億円)となり、テンセントは資金をさらに上乗せする可能性もあるという。

この件について、36Krは両社に確認を求めたが、小熊U租は「ノーコメント」、テンセントからはまだ回答がない。

小熊U租は2018年5月にシリーズAで約1億元(約15億円)を調達して以来、次々と資金調達を成功させてきた。2019年12月までに5回の資金調達を行い、京東集団(JD.com)、「達晨創投(Fortune Venture Capital)」、「前海長城基金(Qianhai Great Wall Fund)」は既存株主としてそれぞれ少なくとも2回以上の出資を行っている。数億元(数十億円)を調達したシリーズB以降は、「東方富海(Oriental Fortune Capital)」が管理する中国財政部傘下の「中小企業発展基金」など政府系ファンドからも資金を調達した。

これまでのシリーズと比べると、テンセントによる今回の出資額は微々たるものだが、この企業サービスの将来性をテンセントが有望視している表れでもある。IT情報サービスプロバイダー「IT桔子」のデータによると、過去3年間、テンセントは企業向けサービスのプロジェクトに50件以上、総額約200億元(約3100億円)を投資してきた。ここ1年では、企業向けサービス関係のプロジェクトに20件以上投資しており、テンセントの投資案件ではこの分野が一番多い。

(画像提供:IT桔子)

テンセント関係者によると、テンセントのB to B事業はCSIG(クラウド・スマート産業事業グループ)が鍵を握っていると言う。テンセント CSIGは今年3月から今に至るまで、PCG(プラットフォーム・コンテンツ事業群)、WXG(微信(WeChat)事業群)など部門を横断してコラボレーションするシステムを確立してきた。本格的にSaaSエコシステムの構築へ注力し、SaaS業務の99%は外注している。このエコシステムの具体的な形は、今年10月末にリリースされた「千帆計画」だ。

この計画は「1つのクラウド、1つのエンド、3つの主要プロジェクト」から成る。1つのクラウドとはテンセントクラウド(騰訊雲)、1つのエンドとはWeChat Work(企業微信)で、この2つをベースにビジネス側とカスタマー側を接続し、セキュリティ、位置情報などのテンセントエコシステム商品と組み合わせ、共同で上位にある、「SaaSアクセラレーター」、「SaaS選抜」、「SaaS技術連盟」の3つのプロジェクトをサポートする。小熊U租は、シェアオフィス全般の産業チェーンプラットフォームだ。主力業務はオフィスの長期 / 短期賃貸、リサイクルや廃棄、技術サービス、資産管理SaaSソフトウェアなどで、「リース+リサイクル+サービス」という産業の循環を確立している。これはテンセントクラウドの「エンド」の機能を補完するものだ。

現在の市場環境は冷え込み、経済は大きな下落圧力にさらされており、ほとんどの企業はコストパフォーマンス向上を渇望している。特にスタートアップ中小企業の寿命は、ほとんどが3年未満であり、購入する代わりにリースによりアセットライトを追求する「新しいリース経済」が、これからのトレンドになるだろう。シェアIT機器のリース市場は1000億元(約1兆5000万円)規模であり、米国では、スタートアップのリース率は60~70%だ。過去10年間で、中国における市場浸透率は5%未満だが、今後成長していく余地は十分にあり、購入からリースへ徐々に置き換わる可能性もある。

小熊U租の華宝城総裁は公開授業で、設立当初から小熊U租のリースとサービスを利用している「毎日優鮮(Missfresh)」の事例に言及したことがある。設立当初、毎日優鮮のスタッフは20〜30人だったが、今では6000人以上に成長した。リースで年間200万元(約3100万円)以上、サービスで運用コスト700万元(約1億円)以上の節約になっている。テンセントや京東(JD.com)以外にも、アリババ、バイドゥ(百度)、今日頭条(Toutiao)、ファーウェイ、愛奇芸(iQIYI)などIT大手企業はみな小熊U租の提携先だ。

小熊U租創業者でCEOでもある胡祚雄氏はかつてスピーチの中で、「経済の下落圧力の下、中国はシェアを奪い合う時代に突入した。すべての企業家は“効率”にもっと気を配るべきだ。技術の進歩、経営改善、プロセスの最適化、生産ツールと比較して、とりわけオフィスIT機器の効率改善は簡単に実現できる」と語ったことがある。

まとめると、成長市場から成熟市場に移行する過程で、効率が企業競争力の核心となったということだ。成長市場では、企業は誰が作るケーキが大きいかを比べてきたが、成熟市場で比べられるのは誰がより速くケーキを切るかである。
(翻訳・永野倫子)

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