ヒューマノイドの「触覚」を握る企業にCATLが投資——中国・Link-touch、1年で3度の大型調達

ロボット向け6軸力覚センサーで中国トップシェアを誇る「藍点触控(Link-touch)」がこのほど、シリーズCの追加ラウンドで1億元(約20億円)以上を調達した。出資は、車載電池大手の寧徳時代(CATL)傘下の溥泉資本(CATL Capital)が主導し、マシンビジョンの奥普特(OPT)、ロボットの智元機器人(AgiBot)や銀河通用(Galbot)なども参加した。1億元以上の資金を調達したのは、この1年間で3度目となる。資金は、次世代力覚センサーの開発や出荷スピードの加速、海外市場の開拓に充てられる。

2019年設立の藍点触控は、弾性構造・組み込みハードウェア・デカップリングアルゴリズム・6軸キャリブレーションの4つの技術プラットフォームを構築し、ヒューマノイド(人型ロボット)向けから汎用まで幅広いセンサー製品を展開する。

主力製品は、フルスケール(全測定範囲)に対する誤差0.1%、応答周波数10kHz以上、許容過負荷500%といった優れた性能を実現し、長らく優位に立っていた海外メーカーに匹敵する水準に達した。これまでに智元機器人や小米集団(Xiaomi)、小鵬汽車(Xpeng)、銀河通用、優必選(UBTECH)といった主要ヒューマノイドメーカーへの納入実績を持つ。

市場調査会社・睿工業(MIR)によると、中国のヒューマノイド向け6軸力覚センサー市場で、藍点触控は2024年に約62%のシェアを占め、25年には70%に上昇すると見込まれている。また、高工ロボット産業研究所(GGII)によると、25年1~9月の市場シェアは72.6%で国内首位を維持している。

藍点触控の製品シリーズ

CATLとロボット大手が株主になる真意

今回の出資者の顔ぶれは戦略的な意味合いが強い。CATLは近年、エンボディドAI(身体性を持つ人工知能)分野への投資を積極化しており、ロボット完成品メーカーにとどまらず、今回のように力覚センサーなど川下の重要部品メーカーにまで出資対象を広げている。今回は資金提供に加え、顧客ネットワーク、製造ノウハウ、自社工場での製品活用という三つの側面でも藍点触控を支援する方針だ。

智元と銀河通用も、既存顧客から株主へと関係を深化させた。両社は長期にわたり藍点触控の製品を採用し、技術力と供給能力を検証済みだ。今回の出資を通じ、精密組立や把持の力制御といった技術課題の克服に向けた協力をさらに強化する。

藍点触控の力覚データをロボットアームにも応用

力覚データがAI学習の鍵に

創業者の劉呉月CEOは、ロボットが精密な動きをするうえで重要になるのが力の制御だと強調する。マシンビジョンは複雑な環境下での検知誤差が大きく、最終的な精密動作には力覚による補完が必要になる。また力覚データは、接触物体の特性とロボットアームの可変性が絡む非線形の問題を抱えるため、シミュレーションによる合成が困難で、実機を動かして取得するしかない。結果として力覚センサーは、AIモデルの学習データを収集する重要な経路となっている。

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3年連続倍増、生産能力も拡大

市場調査会社IDCのデータによると、2025年の世界のヒューマノイド出荷台数は約1万8000台に上り、前年比で約508%増加した。市場をリードするのは中国メーカーで、モルガン・スタンレーは、中国の26年ヒューマノイド予想販売台数を1万4000台から2万8000台に引き上げ、30年には26万2000台に達すると予測した。

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こうした中、藍点触控は3年連続で売上高が倍増し、黒字化を果たした。2026年の関節用力覚センサーの出荷台数は約40万台、6軸力覚センサーの出荷台数は3万~4万台に上る見込みだという。

広東省に建設した1万平方メートル超の生産拠点では第1期全自動ラインの稼働率が90%近くに達しており、ライン拡張後は関節用で年産100万台、6軸用で年産20万台の体制が整う見込みで、受注から納品までの期間は2週間に短縮されるという。今後、ヒューマノイドと自動車産業でのエコシステム構築を深めながら、海外市場の開拓も本格化させる。

*1元=約23円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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