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オンラインフィットネスの歴史はそれほど長くないが、モバイルインターネットの振興とともに人気が高まってきた。
始まりは2014年、「超級猩猩(SUPERMONKEY)」がセルフサービスで利用するコンテナ型フィットネスジムを深圳に開業させたことだ。2015年前後になると「Keep」などのフィットネスアプリがリリースされ、中国でオンラインフィットネスが一大ブームとなった。
モバイル通信が一世を風靡した時期と重なり、短期間に「火辣健身(HOTBODY)」や「FitTime(睿健時代)」など、さまざまなフィットネス系アプリがリリースされた。ウォーキングおよびジョギング用のアプリ「咕咚(Codoon)」や「悦跑圏(Joyrun)」などは、ツールとしての機能の他ユーザーコミュニティをも作り上げた。市場が最も盛り上がっていた頃にはスポーツブランドも参戦、ナイキも「Nike Training Club」と「Nike Run Club」の2アプリをリリースしている。
資金調達の軌跡
前出のKeepを運営する「卡路里科技(Calorie Technology)」は2014年の設立以来、複数回にわたり資金調達を成功させてきた。直近は2018年7月のシリーズDで、この時のリードインベスターはゴールドマン・サックス、コ・インベスターは既存株主のテンセント、「GGVキャピタル」、「晨興資本(Morningside Venture Capital)」「BAI(ベルテルスマン・アジア・インベストメンツ)」だ。
悦跑圏を運営する「悦跑信息科技(Yuepao Information Technology)」も2018年1月にシリーズCで1億元(約15億円)を調達した。咕咚を運営する「楽動信息科技(Ledong Information Technology)」は2018年2月にシリーズC+で「盛大集団(Shanda)」、「深圳市創新投資集団(Shenzhen Capital Group)」、「シティック・キャピタル・ホールディングス(中信資本、CITIC Capital)」、ソフトバンク、「SIG Asia Investments(海納亜州創投基金)」などから2000万ドル(約22億円)を調達している。
広大な市場、顧客を引き付けて離さない魅力的な商品、優秀なチームが大きな風穴が開けたわけだが、次のステップには新しい業界環境があり、それに付随して大きな課題も現われた。
モバイル通信に目新しさがなくなり、景気が冷え込み、市場におけるキーワードが「成長」から「収益化」に代わった今、マネタイズ能力こそが企業の発展を占う重要な指標となる。オンラインフィットネス業界も例外ではない。
マクロ環境の変化は、オンラインフィットネス業界の発展に大きな影響を与えた。上述の通り、トップ企業の最後の資金調達は2018年でみな止まっており、資本家が同業界に対し様子見を続けている状況は変わらない。資本市場に認められるためには、業界全体が大幅に収益力を高めることが必要だ。
オンラインフィットネスの未来予想図
業界がより発展するための方向性ははっきりしている。収益化と規模の拡大だ。
インターネット業界の他のビジネスモデルと同様、オンラインフィットネスで収益を得るには、広告、有料会員制度、eコマース、課金コンテンツ(例えば有料レッスン)などの手段がある。
トップ企業は業界の特性と自社の強みを組み合わて試行錯誤しており、eコマースは有望なマネタイズ方法といえる。例えばKeepでは、従来の広告収入に加え、以下のようなチャレンジに取り組んでいる。
•会員制、有料レッスン、オンラインマラソン。
•トレッドミル、ウォーキングマシン、スマートエアロバイク、スマートスポーツブレスレット、スマート体脂肪計など、家庭用スポーツ機器や個人用ウェアラブルデバイスなどの商品開発。
•「健康、安全、満足」を謳って豊富なメニューで展開する軽食事業。
•ヨガ、ワークアウト、アウトドア、ランニング用品の販売。
•フィットネスクラブ「Keepland」の開業。
手を広げすぎるとかえって全敗するリスクも高まるが、試行錯誤自体は限界を打破する有効な方法だ。 Keepが最近公表した情報から、同社が徐々に事業ポートフォリオを調整していることがわかる。具体的な取り組みを下記に列挙する。
•KOLの引き入れや養成に加え、今年から有名人やアスリートの起用を始めた。広告、有料レッスン、コンテンツ作成委託を通じ、その収益をクリエイターとシェアする方式だ。これはKeepが注力している分野の一つである。
•家庭向けフィットネス機器と対応コンテンツの開発。このビジネスモデルは米フィットネス機器メーカー「Peloton(ペロトン)」に類似している。Pelotonは既にナスダック上場企業だ。Keepがこのモデルで成功すれば、オンラインとオフラインを統合できるだけでなく、事業範囲を拡張し、より多くのユーザーへのアプローチが可能になる。ゆえに、この試みは特に意義深い。
総括すると、オンラインフィットネス業界自体は依然として活況であり、収益化については模索段階にあるものの、ここ数年でユーザー、コンテンツ、製品について蓄積したノウハウは、細分化すれば短期間で高い利益を出す可能性を秘めている。成長期を越えても、さらに大きな発展のポテンシャルが見つかるはずだ。
(翻訳・永野倫子)
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