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中国の新興コーヒーチェーンで、設立2年未満でナスダックに上場した「luckin coffee(瑞幸咖啡)」が販売数などを大幅に水増ししていると指摘された。米空売り専門投資会社マディ・ウォーターズ・リサーチ(MWR)が公式ツイッター上で指摘したもので、その情報源となったのは89ページにも上る匿名の報告書だ。MWRはこれを「信用に足るもの」として、その写しもツイッターに投稿している。
報告書では、luckin coffeeがナスダックに上場した2019年第3四半期から財務・運営データのねつ造が始まったとしている。この指摘を受けて同社の株価は最高26%も下落した。
luckin coffee は2019年第3四半期および第4四半期において、1店舗当たりの1日の商品販売数をそれぞれ69%、88%水増ししていると指摘されている。匿名の報告書によると、これは2019年第4四半期に行われた調査をもとにはじき出された数字だ。従業員の協力のもと、luckin coffeeの981店舗を対象に合計1万1260時間にわたる店舗内動画を収集し、実際の販売状況を調べたところ、1店舗当たりの1日の商品販売数は平均263個だったことがわかった。しかし、luckin coffeeの財務報告書では同四半期のこの数字は483~506個(予想値)と記載されている。
また、報告書ではluckin coffeeの正味販売価格についても調査を行っている。2万5843枚のレシートを入手して調べたところ、1商品あたりの正味販売価格は1.23元(約19円)あるいは12.3%引き上げられていることがわかった。現在の事業スキームを維持することが目的とみられる。無料サービスを除いた商品の実売価格は公称では定価の55%だが、報告書では46%となっている。
また、「その他の商品」に分類される商品が売上高全体に占める割合は、2019年第3四半期にはわずか6%にとどまることがレシート調査から分かった。
さらに、同四半期における広告支出が実際の150%増しで発表されていることが第三者メディアによる追跡調査で明らかになった。とくにデジタル広告中国最大手「分衆伝媒(Focus Media)」に対する支出額を水増ししており、売上高や店舗当たりの利益を引き上げるための措置ではないかと考えられている。
オンライン経由の受注件数についても、報告書では151店舗を対象に追跡調査を行っている。営業開始時間と終了時間にそれぞれ商品を注文し、受注通し番号からその日の受注件数を割り出した。調査の結果、1店舗当たりの1日の受注件数は34~232件も水増しされていることがわかった。店舗あたり1日平均106件が空の受注ということだ。
なお、同報告書はluckin coffee各店舗の店長によるグループチャットのデータまで入手している。これ以外にも写真、キャプチャー画像、領収書など多くの証拠を提示している。
こうした不正行為以外に、報告書ではluckin coffeeの事業スキームの欠陥についても指摘されている。中国ではコーヒーの中核市場は実際はそれほど大きくないこと、luckin coffeeの顧客は価格重視のため客単価を上げることは事実上不可能なこと、コーヒー以外の商品は競争力に欠け、顧客のロイヤルティにつながっていないことなどを挙げている。
経営陣や大株主に関する不穏なデータも示されている。これまで株式の売却は一切行っていないと公言している彼らだが、実際は譲渡担保としてすでに持ち株の49%を売却済みだという。
設立以来、史上例を見ない急スピードの成長を遂げ、今年1月には時価総額が一時100億ドル(約1兆900億円)を突破したluckin coffeeだが、中国を震源地とする新型肺炎の影響もあり、株価は先月17日以降で3分の1も下げている。
これらの指摘について、luckin coffeeは今月1日時点で具体的なコメントを発表していないが、同社の見解は米証券取引委(SEC)が3日に行う発表に準ずるとしている。
(翻訳・愛玉)
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