アップルのLightningポートを排除へ EUが充電規格の統一化を決議

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アップルのLightningポートを排除へ EUが充電規格の統一化を決議

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全ての充電ポートがUSB Type-C(以下、USB-C)に統一されるとの噂がかなり前から聞かれるが、ここに来てLightningポートをめぐるいざこざが再発している。

ロイター社の報道によれば、EUの立法機関は先日、スマートフォンの充電ポートを一本化するための規則案を582対40で可決したという。同案は今年7月より施行されるとのこと。

アップルは先月下旬、スマートフォンの充電器および充電ポートの統一を訴えるEU議員の呼びかけに対し、公式に反対を表明した。こうした措置はイノベーションの妨げとなり、消費者の利益を損なうとの理由からだ。同社によると、Lightningポートを搭載したデバイスは世界ですでに10億台出荷されており、EUのこうした措置はアップルの充電器およびアクセサリー市場に深刻な影響を及ぼすだけでなく、これまでにないほどの電子廃棄物を生み出すとのこと。アップルは声明の中で「全スマートフォンに内蔵するコネクターの種類を強制的に統一しようとする管理政策は、イノベーションの奨励ではなく抑制となる上に、欧州の消費者の利益と経済全体を損なうもの」と述べている。

アップルが過去にデンマークのある経済研究企業に依頼した調査によれば、LightningポートをUSB-Cポートに変更した場合の経済損失は15億ユーロ(約1800億円)にも上り、環境保護効果の1300万ユーロ(約15億7000万円)を大幅に上回るという。EUは今回の法律制定について、その主な目的は欧州の電子廃棄物の削減だとしている。実際、2016年に欧州全体で1230万トン、1人当たり16.6キロの電子廃棄物が発生したとのデータもある。

充電ポートをめぐるEUの論争は今回が初めてではない。

2009年の時点で、スマートフォン業界の四大企業であるアップル、ファーウェイ、サムスンおよびノキアは、2011年から統一規格の充電ポートを使用するとの合意に達している。だが、アップルはポートの規格を変更しなかった。これまでアップルがLightningポートを廃止するとの噂がたびたび流れてきたが、現在も依然として使用されている。

アップルは2012年に発表したiPhone5シリーズで、長年使用してきた30ピンDockポートを廃止しLightningポートに変更した。その理由はLightningポートのコンパクトさや双方向充電といった優位性のためとしているが、現状ではUSB-Cの給電性能、伝送速度、アナログ信号の伝送、拡張性能はいずれもLightningポートに劣らない。

アップルは現在、すでに一部のMacBookおよびiPadにUSB-Cを搭載し始めている。BBCの報道によれば、同社が2018年年末に発表したiPad Proで、LightningからUSB-Cへの移行が始まったという。他の製品でもLightningの廃止が迫られれば、アップルはUSB-Cを採用するか、または無線充電を推進することになるだろう。

無線充電は、折しもiPhoneの大部分の外部端子やボタンを廃止したいアップルの将来的なビジョンとも合致する。

米ビジネス・テクノロジー専門サイトBusiness Insiderの昨年の報道によれば、アップル製品に精通している郭明錤(ミンチー・クオ)氏は、同社が2021年にLightningポート非搭載のiPhoneを初ローンチする予定であるとした上で、そうした「完全無線型の体験」は現時点でハイエンドモデルのみに提供される計画であり、ただちに全モデルからLightningポートが消えるわけではないと分析している。
(翻訳・神部明果)

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