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上海SNH48に出資したりして、2次元や若者のトレンドを最も理解している投資家といえば、陳悦天氏だ。
持続可能かつ大規模化というのがコンテンツ産業における同氏の方法論だ。テクノロジーの波が押し寄せている今、復旦大学でソフトウエア・エンジニアリングを専攻した「理系男子」である陳氏は、専門知識と論理的分析を生かして新しいコンテンツや消費形態への探索を進めている。
以下は陳氏へのインタビューの抄訳。
――コンテンツ産業の起業に関して、今年はどんなチャンスがあるとお考えですか。
「現段階でチャンスといえるのは、テクノロジーとマスメディアの融合だ」
「テクノロジーには5GやAI、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などがあり、どれも進歩を続けている。それに対してマスメディアの大原則は『変わらない中での変化』だ。変わらない部分というのは、コンテンツを消費する基本的な欲求が人にはあることだ。精神的に満たされる必要があるため、ストーリーやそれによって感情が揺さぶられることに長期的なニーズがある。ただテクノロジーの進歩に伴いさまざまなメディアが生まれるようになった。それら新たなメディアを通して、いかに人々のニーズを満たすか、それが変化の部分だ」
「最近、我々はあるクラウドゲームに出資した。クラウドゲームは5G技術とゲーム産業の融合だ。また、バーチャルアイドルもAIと3G、4G技術の融合だと言える」
――今後、クラウドゲーム市場を戦ううえで鍵となるのはどんな点ですか。
「一番は技術のソリューション、要はコストだ。現在、我々が出資しているクラウドゲーム企業は完全な仮想化を行っている。ゲームのコンテナを提供し、仮想環境が整ったらコンテナからストリーミングを行うというものだ。冗長なOSの演算部分がないため、そのコストは非常に低く抑えられる」
――テクノロジーが飛躍的に進歩しているなかで、純粋なコンテンツ提供者はどのように対応すべきですか。
「動画サイトで優良なコンテンツを提供しているのは、かつてテレビ番組の制作に従事していた人たちということに気づくだろう。同様に、新たなメディアで優良なコンテンツを提供できているなら、雑誌など紙媒体の全盛期にも優良な記事を提供していたはずだ。メディアの環境が変わったとしても、それを提供する側は変わらない」
――5Gがエンタメ産業に与える影響はそれほど大きいのでしょうか。
「その通りだ。クラウドゲームだけでなく、VRやARホログラムなど大きなデータ量の通信には、5Gのようなシステムが不可欠だ。4G環境下では処理が遅く、計算量や効率も劣っている」
――コンテンツ産業の主体は「人」ですが、コンテンツ作者にとってテクノロジーは必須の知識になるのでしょうか。
「投下資本利益率についてのある統計によると、テクノロジーに対する利益率が労働力に対するものに比べてはるかに高い。このような環境では、『人』の重要度は低下していく」
「資本とテクノロジーを直接結びつければ、ロボットでお金を稼ぐこともできるわけだ。これこそが最大のトレンドであり、人はますます重要でなくなるということを各自が意識するべきだ」
――消費への投資とコンテンツへの投資にはどんな違いがありますか。
「大きな違いがある。実体のある商品を提供するのは、コンテンツを提供するよりハードルが低い。というのも、工場の生産能力は共有されるからだ」
「目に見える商品は全て、中国でコピーされ得る。ファーウェイのスマートフォンがiPhoneと遜色ないほど良くできているのはなぜか。それはアップルのサプライチェーンが中国で発展したからだ。アップルが原材料や部品などを単独で統制しない限り、ほかのスマホメーカーもその工場の生産能力を利用するわけだ」
「このように実体のある商品に関して供給サイドや生産サイドに希少性はないが、コンテンツには希少性がある。そのため商品に投資する場合は持続可能で大規模化できる生産能力を見るが、コンテンツに関してはその希少性が大きな鍵だと言えよう」
作者:「深響」(Wechat ID:deep-echo)、亜瀾
(翻訳・畠中裕子)
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