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床拭きロボット掃除機の開発を手掛ける「雲鯨智能科技(Narwal Robotics)」がこのほど、シリーズBで約1億元(約15億円)を調達した。リード・インベスターは「源碼資本(Source Code Capital)」とショート動画アプリTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)、コ・インベスターは既存株主の「盈峰資本(Infore Capital Management)」や「大米創投(Dami Ventures)」など。同社は2016年に設立されて以降、複数回の資金調達に成功している。
ロボット掃除機の販売台数は現在、家庭用ロボットの中で最も多くなっている。とくに中国の中・高価格帯市場では、床拭きロボット掃除機の小売売上高が伸び続けている。とはいえ、従来の床拭きロボット掃除機にはモップを手洗いしなければならない不便さが残っていた。
雲鯨智能は世界初のモップの自動洗浄機能付き床拭きロボット掃除機「Narwal J1」を開発し、米国のクラウドファンディングサイト「Kickstarter」で昨年、1905人から114万ドル(約1億2300万円)を調達した。Narwal J1はすでに量産体制に入っており、間もなく正式に発売される見込みだ。
Narwal J1は掃除機とベースステーションで構成され、拭き掃除の全プロセスを自動化している。掃除機は搭載された高性能センサーLiDAR(ライダー)で室内環境をマッピングし、最適ルートを導き出す。スマホアプリと接続することで、掃除機の軌跡をリアルタイムで追跡できるほか、掃除の順番や回数、モップの濡らし具合、進入禁止場所などを設定できる。
ベースステーションには5リットルのタンクが二つ設置され、浄水と汚水を分離。通風システムが数時間でモップを乾かし、細菌や害虫の発生を防止する。一度に掃除可能な面積は最大300平方メートルで、アルゴリズムを通じてモップの汚れを検知すると、掃除機がベースステーションに戻り、モップが自動洗浄される。
雲鯨智能は、ハードウエアの機械構造やソフトウエアアルゴリズムなどを大幅に刷新した。Narwal J1では丸みを帯びた三角形のモップを採用することで拭き残しを解消し、拭き掃除に適応するSLAM(自己位置推定と環境地図作成)を独自開発している。
雲鯨智能は現在、すでに数百万台規模の量産体制を実現。生産ラインは1カ月当たり最大1万台以上の生産が可能となっている。品質の信頼性を保証するため、ソフトウエアシステムと機械設備および検査設備を開発し、できる限り手作業の比率を下げた。同社が半年から1年間かけて実施した製品約100台を対象とする社外モニター試験では、ユーザーの使用頻度が非常に高いことが分かっているという。
Narwal J1のクラウドファンディングにおける支援額は約600ドル(約6万6000円)に設定された。セールスポイントは、モップの自動洗浄機能やスマートマッピング、床の頑固な汚れも落とせる性能や超静音設計、掃除可能面積の広さなどだ。グーグルで「Narwal」を検索した場合のヒット件数は、クラウドファンディング開始前には0件だったが、クラウドファンディング開始後3カ月で9万7000件を超えた。
雲鯨智能はNarwal J1について、海外市場での販売を優先しながら、中国国内市場での同時展開も視野に入れている。昨年7月末時点で、すでに米国のほか、日本や台湾、韓国、シンガポール、スイス、フランス、オーストリアなど20カ国・地域から代理販売や提携に関する問い合わせを受けているという。
革新的な機械構造を持つハードウエアは模倣されがちだが、雲鯨智能は中国内外の市場をカバーする70件近くの特許を出願しているため、競合他社が類似の構造を採用するのは難しい。同社はまたソフトウエアアルゴリズムの面でも多くの蓄積があり、単純に機械構造を模倣しても、類似の製品を開発するのは難しい。同社はさらに、法務チームと知的財産権チームを構築して両者の連携を強化する一方、より開放的な姿勢でビジネスパートナーとの協力を推進していく方針だという。
雲鯨智能は2016年10月に設立され、研究開発センターとマーケティング・センターおよび自社工場が三位一体となった組織構成を形成している。研究開発本部と自社工場は広東省東莞市の松山湖畔に、マーケティング・センターは同省深圳市に位置する。従業員約140人のうち半数が研究開発人員で、清華大学や上海交通大学、香港科技大学、米ジョージア工科大学などの卒業者および中国通信機器大手のファーウェイやZTE(中興通訊)、中国ドローン大手のDJI、米電機大手のエマソン・エレクトリックなどの出身者が並ぶ。(翻訳・田村広子)
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