旅行代理店の利益最大化へ AIで最安値予測の「Hotelmize」が中国へ進出 アリババも出資

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ホテルの宿泊価格をAIで予測して収益率向上をサポートする「Hotelmize」はこのほど、アリババグループが設立した企業支援基金「アリババ創業者基金」とイスラエルの投資機関「Brilliance Ventures」が主導するシリーズBで資金を調達した。調達した資金はアジア太平洋地区へのサービス拡大とソリューションの強化に充てられ、AIによる宿泊価格の予測精度の向上を目指す。同社はこれ以前にも2度の資金調達を行っており、調達金額は総額500万ドル(約5億3500万円)に上る。

2015年に設立されたHotelmizeは宿泊価格の変動をモニタリングするアルゴリズムなどのAI技術を研究開発しており、ホテル予約を行う旅行代理店向けにAIとビッグデータに基づく利益最大化のソリューションを提供している。

Hotelmizeは宿泊価格の変動を予測する「Hotel rates price prediction」技術を開発、さまざまなホテル予約プラットフォームから取得したビッグデータを分析し、旅行代理店に最適な買い入れ価格を自動で提案して、ホテル予約業界全体の利益率向上を図る。ホテルを予約する際、同タイプの部屋でもホテルによってスタンダードルーム、ツインルーム、二人部屋など名称が異なっており、情報が見にくいという問題が生じがちだが、同社のシステム「Room-Level Mapping」を使えば、さまざまなプラットフォームに分散しているホテルの空室を標準化し、価格面で有利な情報を効率よく見つけることができる。

HotelmizeはビッグデータとAIを活用した宿泊価格モニタリングを提供する世界で唯一の企業だ。その特徴は主に3つある。まず、ホテル予約に特化して開発されていること。次に、ビッグデータを収集できるようさまざまなデータプラットフォームと連携している上、全プロセスが自動で行われ操作が簡単なので、多くの時間やエネルギーを節約できること。最後に、ビッグデータのほかに金融や株式市場の専門知識を活用し、利益の最大化を図ることだ。日々変動する宿泊価格がいつ最低価格になり利益率が最大になるかを予測し、自動で予約を行うことができるというもので、このシステムを採用することで旅行代理店が30%以上の利益向上を見込めるとしている。

Hotelmizeでは、サービス利用により発生した付加的な利益に対して50%ほどのサービス料を徴収するというビジネスモデルを採用している。サービス契約の期間は一般的に3~4年で、これまでのところサービスを利用した全てのクライアントが契約を継続しているとのこと。公式ウェブサイトによれば、現時点でのクライアントは世界14カ国の25社。Hotelmizeはクライアント数よりも既存クライアントの利益率や価値の創出を重視しており、クライアントの定着率によりフォーカスしている。

なぜ新型コロナウイルスが流行している今の時期にアジア市場への進出を決めたのかとの問いに対し、CEOのDor Krubiner氏は、アジアの旅行市場の長期的な成長を評価しているからだと答えた。Brilliance Ventures投資パートナーのQian Chen氏が語ったところでは、旅行業界の冷え込みは一時的なものであり、むしろコロナ禍の中で旅行業界への投資チャンスが生まれているという。

Hotelmizeはイスラエルのテルアビブにある本社に20名余りの社員を抱えているほか、ロンドン、バンコク、ブエノスアイレス、スペイン・マヨルカ島に事業所を構えている。2020年には香港にアジアや中国市場への窓口となるアジア太平洋地区本部を設立し、アジア太平洋事業CEOやITチーム、セールススタッフなどの採用を行って中国市場で働くチームの拡張を進める計画だ。

(翻訳・畠中裕子)

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