原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国のIT大手テンセントのクラウド・スマート産業事業グループ(CSIG)の湯道生(ドーソン・トン)総裁は26日、同社が今後5年で5000億元(約7兆5000億円)を投入し、中国政府が提唱する「新基建(新インフラ)」の整備を推進していくと発表した。
具体的に、クラウドコンピューティング、AI、ブロックチェーン、サーバー、大規模データセンター、スーパーコンピューティングセンター、IoT向けOS、5Gネットワーク、音声つき動画通信、インターネットセキュリティ、量子コンピューティングなどを重点的に手掛けていく。中でもサーバー100万台規模のデータセンターを全国に敷設する予定。
中国では、政策の後押しはビジネスにとっては大きな追い風となる。テンセントだけでなく、アリババ、京東集団(JD.com)、バイドゥ(百度)など国内IT大手はいずれも新インフラの構築を強化していくと意思表明している。
大連市の金普新区は22日、バイドゥが展開するオープンソース型の自動運転開発コンソーシアム「Apollo」および国有企業「中国電子科技集団(CETC)」と新インフラ建設プロジェクトにおける提携協議を締結し、むこう5年にわたり、同区をデジタル経済と新インフラの実験地区にしていくとした。
大手EC京東集団は同月8日、新インフラに関連した「新動能計画」を発表し、企業や行政機関に対しデジタルトランスフォーメーション(DX)やスマート化のアップグレードなどを支援していくとした。
アリババは先月20日、今後3年間でさらに2000億元(約3兆円)を投じ、クラウドOS、サーバー、チップなど重要なコア技術に取り組み、将来的なデータセンターの建設に備えると発表した。
「新インフラ」は5G通信やインダストリアルインターネット、大規模データセンター、AI、特別高圧送電システム、新エネルギー車および充電スタンド、高速鉄道の7分野について展開される。中国においては今年のキーワードとなるだろう。
中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が23日に発表した政府活動報告には初めて「新インフラ」の文言が盛り込まれ、「新インフラの整備を重点的に支援していく」と強調している。
新インフラ全体の発展規模について、海通証券(Hitong Securities)の予想では年内に3兆元(約45兆700億円)の投資、今後5年で10兆元(約150兆2300億円)の直接投資、17兆1000億元(約256兆9200億円)の関連投資が行われるとしている。また方正証券(Founder Securities)は、新型コロナウィルスの蔓延により需要が世界的に急降下する中で、中国は産業の分業化を再調整する必要に駆られているとし、クラウドコンピューティングに代表される新インフラが経済社会の刷新にとって基礎的な支えになるとしている。中期的にみるとリモートワークやビデオ会議などの需要が増え続け、世界中のデータセンターやクラウドコンピューティングの処理能力が限界を迎えるため、クラウド関連のインフラ敷設は今後も拡大傾向を続けるだろうと予測している。
(翻訳・愛玉)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録