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カナダの国民的カフェチェーン「ティム・ホートンズ(Tim Hortons)」は5月に中国IT大手のテンセント(騰訊)から資金を調達して以降、中国での出店攻勢を加速している。
7月24日、ティム・ホートンズは北京の高級商業施設「世貿天階(The Place)」と「龍湖長楹天街(Paradise Walk)」に新店舗を同時オープンし、北京進出を果たした。
ティム・ホートンズのプレスリリースによると、同社は年内に北京で20店舗をオープンする計画で、CBD(中心業務地区)や大型商業施設にオープンした標準店舗および旗艦店舗により消費者の多様なニーズを満たすとしている。また、今回オープンした北京の店舗では、内装などのデザインや取扱商品に中国的な要素を取り入れているほか、北京限定商品も発売するなど、スターバックスコーヒーと酷似した手法をとっている。
スターバックスに次ぐ世界第2位のカフェチェーンであるティム・ホートンズは1964年に創業され、英国のブランドビジネス評価・コンサルティング企業「Brand Finance」が発表する「世界で最も価値のあるレストランブランドトップ25」に毎年ランクインしている。同社は現在、世界各地に約5000店舗を構えている。うちカナダ国内の約4000店舗では1日あたり500万杯のコーヒーを売り上げており、本国カナダのファストフード業界をリードすると同時に、カナダの文化の一翼も担っている。
ティム・ホートンズは「バーガーキング」や「ポパイズ・ルイジアナ・キッチン」など歴史あるファストフードチェーンを運営する「レストラン・ブランズ・インターナショナル(RBI)」の傘下ブランドだ。2018年5月、RBIはプライベートエクイティ企業「カーテシアン・キャピタル・グループ(Cartesian Capital Group)」と合弁でティム・ホートンズの中国法人(以下、ティムズ中国)を設立し、2019年2月には上海に中国1号店をオープンした。
2019年12月、ティムズ中国は取材を受けた際、今後数年以内に中国国内で1500店舗の開設を目指すとしていた。現時点で北京、上海、杭州、大連、鄭州などに約70店舗の展開を果たしてはいるが、中国市場におけるスターバックスの展開規模と比べると、目標達成の道のりはまだ長く厳しそうだ。
ここ数年、カフェチェーン「Luckin Coffee(瑞幸咖啡)」や「HEYTEA(喜茶)」、「CoCo都可」などのティードリンクチェーンの参入により、中国のカフェ市場は競争が激化している。特にニューリテールの概念が提唱されてからは、デジタル化により従来以上に便利なサービスが提供できなければ、ブランドの存続は難しくなった。
スターバックスは2018年にアリババとニューリテール分野で独占的パートナー契約を締結し、2019年にはスマホアプリから注文し店頭で商品を受け取るサービス「啡快(Starbucks Now)」をローンチした。啡快のサービスは今年7月21日から、スタバアプリからだけでなく、「アリペイ(支付宝)」、「タオバオ(淘宝)」、「口碑(Koubei)」、「高徳地図(Amap)」などのアリババ系アプリからの利用も可能になり、消費者により良い消費体験を提供できるようになった。
ティムズ中国も今年5月、テンセントから資金を調達し、 チャットアプリ「WeChat(微信)」のエコシステムを活用しデジタルイノベーションを模索していくことを明らかにした。同社は、テンセントから調達した資金によりデジタルインフラの構築を進め、テンセントと共同でオンラインチャネルのデジタルアップグレードを模索し、引き続き中国での店舗展開を加速させていくとしている。
新たな中国カフェ戦争が静かに始まりそうだ。
(翻訳・浅田雅美)
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