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今年に入り、オンライン教育を手がける「跟誰学(GSX Techedu)」や「好未来(TAL)」、ネットイース傘下の「有道(Youdao)」などの株価が軒並み急騰している。この勢いはどこまで続くのだろうか。
跟誰学は、昨年6月3日の最低株価8.53ドル(約900円)から今年8月3日の最高株価141.78ドル(約1万5000円)へ急上昇、1年あまりで16.6倍の上げ幅となった。
好未来は8月3日時点で、1年前の2.5倍となる82.49ドル(約8800円)をつけており、2010年上場時の2ドル(約200円)と比べると実に41倍になっている。
有道の株価は8月3日時点で47.7ドル(約5100円)と、昨年10月から1年足らずのうちに4倍近くに上昇している。
過去のデータを見ても、オンライン教育企業の株価がこれほど急騰するのは極めてまれなことだ。
前倒しで黒字転換達成の見込みも
オンライン教育は、新型コロナウイルス感染症の流行期間中に爆発的な成長を遂げた業界だ。
大手企業はこぞって無料レッスンを打ち出し、膨大なアクセスを手に入れた。それに伴い、各社の業績も右肩上がりに数字が伸びている。
今年第2四半期、有道の売上高は前年同期比93%増の6億2000万元(約95億円)となった。学習サービスおよび製品に限っては、同190%増加となる5億2000万元(約80億円)に達した。
好未来の2021会計年度第1四半期(2020年3~5月)の売上高は、前年同期比35.2%増の9億1070万元(約140億円)で過去最高を記録した。
これらの企業は売上高を急速に伸ばしているとはいえ、一部企業はいまだ赤字の状態で、その損失額は増加傾向にある。これは、各企業がアクセス急増の勢いに乗って、さらなる市場拡大のために巨額の投資を行っていることが要因と見られる。
オンライン教育では「夏休みを制するものが天下を制する」とも言われる。各企業がコロナ流行期間中の無料レッスンから夏休みの有料レッスンへと軸足を移すのに伴って損失額は今後縮小すると見られ、業界が前倒しで損益分岐点を迎える可能性があると、中国証券大手「中信建投証券(CSC Financial)」は予測する。
市場はさらに拡大の見込み
中国科学院課題組はさまざまな機関のデータを元に、オンライン教育の市場規模は2022年に5400億元(約8兆3000億円)を超えると予測している。なかでもK12(幼稚園年長から高校まで)向けオンライン教育が重要な部分を占め、その市場規模は2022年に1500億元(約2兆3000億円)を突破する見込みだ。つまり、オンライン教育には大きな潜在力があり、この先1、2年は成長ペースを維持すると期待できる。
ただコロナ禍で降ってわいたチャンスを全ての企業がものにできたわけではない。オンライン教育という特性上、ユーザーはブランドや口コミを重視する。このため業界ではトップクラスの大手企業に利益が集中する傾向にある。
オンライン教育市場では集中度が非常に高く、生徒数ベースで計算すると上位5社が市場全体の60%以上を占めているのが現状だ。
無視できないリスク
今回のオンライン教育の急成長は感染症流行がもたらしたものだが、感染症が終息しつつあるなか9月の新学期を迎えれば、アクセス数や浸透率は振り出しに戻るに違いない。オンライン教育業界にとって、大きな試練となるはずだ。
黒字化へのシナリオに対するリスクも指摘されている。現在、オンライン教育企業の大部分がいまだ赤字の状態にあるのは、一つにマーケティング費用の大規模投入によるものだが、一方で収益能力に問題を抱える企業も一部見受けられる。今後、マーケティング費用への投入が減少するかどうかは、企業が黒字転換を目指す上で大きな不確定要素となる。
とはいえ、今回のコロナ期間中に獲得したアクセス数の蓄積がオンライン教育の普及を大きく後押しし、業界全体の成長を大きく促していくことは間違いないだろう。(翻訳・畠中裕子)
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