バイトダンス、クラウドゲームプラットフォームを内部テスト 打倒テンセントで形勢逆転を狙う

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TikTokの運営会社バイトダンス(字節跳動)が手がける独自のクラウドゲーム事業の進展が明らかになった。

傘下のスマートフォン事業「堅果(Jianguo)」のプロダクトマネージャー朱海舟氏が中国版ツイッター「Weibo(微博)」で発表したところによると、バイトダンスが手がけるクラウドゲームプラットフォーム「嗷哩ゲーム(Aoli Game)」アプリは、申込みをしたユーザー全てに対して内部テストに参加する権限を開放したという。

バイトダンス初のクラウドゲームプラットフォーム

嗷哩ゲームを開発したのはバイトダンスの関連会社「福建竜岩指悦科技(Fujian Longyan Zhiyue Technology)」で、1年近くをかけてようやく今年初めに公開テスト版のリリースにこぎ着けた。

これはバイトダンスが手がける初のクラウドゲームプラットフォームで、現時点ではアプリの形でユーザーに提供されている。テストの初期段階にあるため、プラットフォーム上に公開されているゲームタイトルはわずか4つにとどまる。一部のクラウドゲームでは、昨年10月に発表されたスマホ「JianGuo(堅果)R2」と堅果の有料会員資格の両方を持っているユーザーのみがプレイできる。

バイトダンスのクラウドゲーム事業が明るみに出たのは昨年下半期のことだ。まずTikTok本国版の「抖音(Douyin)」内でクラウドゲームの内部テストを行い、抖音プラットフォームの巨大トラフィックを基盤として、クラウドゲーム市場に切り込む足がかりにすることを試みた。

ただこの内部テストはカジュアルゲーム主体で、画質やロード時間の点でも他社プラットフォームに比べ大きく見劣りしていたため、依然として中核となるプラットフォームの設立が必要なのは明らかだった。

バイトダンスは中核となるクラウドゲーム事業を確立するため、傘下のクラウドゲームサービスの統合に乗り出す。傘下のカジュアルゲームプラットフォーム「Ohayoo」同様、この流れの中で誕生したのが嗷哩ゲームだ。

ゲーム市場で巻き返しの糸口となるか

クラウドゲームはクラウドコンピューティング技術を利用し、外部のサーバー上で処理を行うため、使用端末のスペックにかかわらずネット環境があれば複雑なゲームもプレイできる。5Gの普及が進む中、スマホユーザーのニーズに合致したゲームだと言える。

市場調査会社艾瑞諮詢(iReserch)によると、中国のクラウドゲームユーザーは2021年に3億7300万人に達し、市場規模は2023年に1兆元(約16兆円)の大台を突破する見込みだという。この巨大市場に魅せられて多くのクラウドゲームプロバイダが参入し、プラットフォーム間の競争は日々激しさを増している。

この2年、テンセント(騰訊)やネットイース(網易)などゲーム大手が相次いでクラウドゲームプラットフォームをリリースしてきた。ゲーム市場では存在感を示せていなかったアリババも昨年にクラウドゲーム事業を立ち上げたほか、ゲーム実況配信の二強「斗魚(Douyu)」と「虎牙(Huya)」も自社のクラウドゲームプラットフォームを打ち出している。今やクラウドゲームはIT企業にとって欠かすことのできない事業分野になっており、バイトダンスも例外ではない。

バイトダンスが手がけているゲームのうち、カジュアルゲームより利益率の高い重量級ゲームの評判は思わしくない。中国のモバイルゲームコミュニティ「TapTap」によると、リリースから1年近くたったストリートバスケゲーム「熱血街籃」の評価は10点満点中わずか4.2点、「戦争芸術」は6.7点だという。重量級ゲームの開発が思うように進まないバイトダンスにとって、クラウドゲームはテンセントやネットイースを一気に抜き去れるかもしれないチャンスだ。

ハードのスペックに依存しないクラウドゲームでは、基礎技術を持つクラウドサービス事業者やコンテンツ開発企業の発言権がより大きくなり、クラウドコンピューティングの技術力とプラットフォームやチャネルの豊富さが勝敗を決める鍵となる。

バイトダンスは大きな強みであるアルゴリズム、ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」と抖音が抱える億単位のユーザートラフィック、さらにはテストが進行中のエッジクラウド事業など、技術面で不足はない。また複数のゲーム開発会社と提携を結んで自社の弱点を補強し、傘下の広告プラットフォーム「巨量引擎(Ocean Engine)」を配信ルートとすることで、Ohayooの成功を導いてきた。クラウドゲームで鍵となる技術力とチャネルにおいて、バイトダンスとテンセントにそれほど大きな差はなく、これはテンセントに戦いを挑むうえで肝要な要素となっている。

この先バイトダンスが基礎技術の強化や配信ルートの拡充、ゲームコンテンツの改良を図ってクラウドゲーム事業におけるスキルを向上させ、抖音や今日頭条などを活用してプロモーションを行うなら、先を行くテンセントを一気に抜き去ることも不可能ではないだろう。(翻訳・畠中裕子)


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