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HR SaaS(SaaS型人事管理システム)の「Moka」がシリーズCで1億ドル(約113億円)を調達した。出資を主導したのはタイガー・グローバル・マネジメントで、「藍湖資本(Blue Lake Capital)」「高瓴創投(GL Ventures)」「金沙江創投(GSR Ventures)」「紀源資本(GGV Capital)」などの既存株主も出資した。
HR SaaSは企業向けソフトウエア市場の大半を占めている分野である。中国国内でも急速に発展しており、市場調査会社「艾瑞諮詢(iiResearch)」によると2020年の市場規模は前年比39.7%増の27億元(約480億円)で、2025年には142億元(約2550億円)に達する見込み。
Mokaを運営する「北京希瑞亜斯科技」は2015年設立。2016年末に主力プロダクトである「Mokaスマート採用管理システム(以下、Moka採用)」をリリースしている。企業の人材採用プロセス、例えば異なるチャネルからの採用、面接の手配、採用候補者の管理、人材データベースの構築、データ分析などの一元管理をサポートする。Mokaはここ数年プロダクトのアップデートを頻繁に行い、新卒採用、社会人採用、リファラル採用、チェーン店の人材採用など場面ごとに特化したソリューションを用意。企業が最適なタイミングで最適な人材を見つけられるようサポートする。
昨年末、Mokaは新プロダクト「Moka People」をリリース。これはアジャイル型のHCM(人的資源管理)プロダクトで、SaaS方式を採用している。Moka Peopleは人事管理、勤怠管理、賃金管理など高頻度の業務に対応。これにより人材採用から人的資源管理までの全プロセスをカバーできるようになった。このほか、同プロダクトは採用データを同期して人材を総合的に分析するなどのビジネスインテリジェンス(BI)によって人事管理者の意思決定を支える。
Moka PeopleはMoka採用と連動しており、現在すでに100社近い企業にHR SaaSソリューションを提供している。例えば採用プロセスでは人材採用のニーズ発生から募集する職種の発表までの流れを全てオンライン化することで、業務の効率が高まる。採用決定から入職までも連動しており、採用決定時点で採用候補者の経歴情報、履歴書、給与、職階、面接時の評価コメントなどの情報が全てMoka採用に同期される。人事管理者側の機能では在職人数、試用期間と実習中の人数などの基本情報が把握でき、採用プロセスに関与できるようになっている。
Mokaの共同創業者である李国興CEOは、ここ数年HR市場全体が新型コロナウイルス流行とその回復期を経て、デジタル化の受容性が一段と高まったと話す。特に面接などの場面で企業のHR SaaSに対するニーズが高まり続けているという。このニーズに応えるためMokaはここ数年、細分化した場面ごとのソリューションを打ち出している。
Mokaはすでに1500社以上の企業に有料サービスを提供しており、インターネットからバイオ医薬品、ハイエンド製造業、新エネルギー、小売チェーン、不動産まで25の業界に対応。顧客にはテンセント(騰訊)やシャオミ(小米)、マクドナルド、リチウムイオン電池世界大手「寧徳時代(CATL)」、パナソニックなど有名企業が名を連ねる。
Mokaは設立以来ATS(採用管理システム)から企業の人事システムまでサービスを拡大、全プロセスをカバーするHR SaaSシステムを構築してきた。将来的には提携パートナーとより良いHR SaaSソリューションを作り上げ、ビジネス化を加速していく構えだ。
現在同社には600人を超える社員が在籍。中心メンバーにはスタンフォード大学や北京大学、清華大学の出身者や、アリババ、生活関連サービス大手「美団(Meituan)」、ソフトウェア大手「SAP」など一流インターネット企業の勤務経験者がいる。
(翻訳・山口幸子)
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