産業用OS開発トップ企業が95億円調達 プラットフォームとアプリを組み合わせたモデルで成長

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産業用OS開発トップ企業が95億円調達 プラットフォームとアプリを組み合わせたモデルで成長

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インダストリアルインターネットプラットフォームのリーディングカンパニー「浙江藍卓工業互聯網信息技術(Bluetron 以下、藍卓)」がシリーズAで5億元(約95億円)を調達したことがわかった。出資を主導したのは「富浙資本(Fu Zhe Capital Management)」で、SBチャイナベンチャーキャピタルなども出資した。

藍卓は2018年設立。産業用OSの開発と実用化に注力してきた。中国版「産業用Android」を目指して同社が開発した汎用型産業用OSプラットフォーム「supOS」はプロセス製造企業も組立製造企業も利用することができる。

産業用OS「supOS」

デジタル化はすでに世界のトレンドとなっている。380万もの工業関連企業がある中国ではあらゆる産業分野を網羅しており、産業用OSの用途が豊富でデジタル化のニーズもある。しかし、産業のデジタル化には多くの課題がある。自動化、情報化のプロセスにおいて全体的な構想が欠けているために、企業がそれぞれ独立したシステムを構築しており、情報の孤立化やデータが不透明であるなどの問題が生じた。そのほか、従来のソフトウェアはカスタマイズの度合いが高く、そのためコストが高く開発期間が長いなどのデメリットもあった。さらに導入のハードルも高く、アーキテクチャもクローズド型でユーザーは開発に関与することができず、関連する技術や経験の蓄積が難しかった。

supOSは工場向けに統一したデータ環境を提供し、さまざまな設備や生産システムのデータを一つのプラットフォームに集める。エコシステムのパートナーはプラットフォーム上で安全な生産、省エネ、品質向上やコストダウンなどのニーズに基づいて各種のアプリを開発することができる。従来の産業用ソフトウェアをプラットフォーム上で運用する産業用アプリに変え、製造業の企業が必要に応じダウンロードして利用できるようにした。supOSはプラットフォームと複数のアプリを組み合わせたモデルで、従来の工場の生産、運営、管理方式を刷新し、次世代スマート工場の新しいモデルとなっている。

藍卓の創業者である褚健教授は「産業用ソフトウェアはデジタル化への鍵ともなる。インダストリー4.0時代に、企業が高水準の発展を実現するにはインダストリアルインターネットプラットフォームの構築が必要で、産業用アプリから構成されるエコシステムを構築する必要がある」と話した。

supOSは、スマート工場を対象としたボトムアップ式のインダストリアルインターネットプラットフォームだ。現時点で同社のプロダクトには工場向けOS、業界向けクラウドOS、産業向けOSという三つのシリーズがある。それぞれ、中・大規模工場、中小規模の工業関連企業と産業チェーン、サプライチェーンのデジタル化というニーズに対応したものだ。

ビジネスモデルとしてはプラットフォーム、エコシステム、アプリを組み合わせた戦略を取っている。藍卓は統一した技術アーキテクチャに基づいてプラットフォームを提携パートナーに開放することで、多くのソフトウェア開発者が工場向けに豊富なアプリの提供、顧客への納品と運用まで行うことを可能にして各業界の多様な顧客のニーズに応えている。

技術面での強みを見ると、藍卓は30年にわたる産業向け事業の蓄積があり、「狭く深く」の理念に基づいて、産業向けPaaSを改善してきた。supOSは各種の産業契約に対応し、IIoT(Industrial IoT、製造業におけるモノのインターネット)や「SCADA(監視制御システム)」の能力を備えている。プラットフォームにはデジタル工場ツールキットがあり、ロ―コード開発が可能で、アプリの迅速な開発をサポートする。

supOSが今までにプラットフォームとアプリを組み合わせた事業モデルで建設した新型スマート工場は1500近い。石油化学、化学工業、建材、冶金、電力などのプロセス製造業界や、自動車部品、機械・設備製造業、金属加工、電子機器製造などの組立製造業界などを含む広範囲にわたる30の業界で利用されている。中国国内では30の省や地域、海外ではベラルーシ、サウジアラビア、タイなどの国をカバーしている。

藍卓は将来的なsupOSのオープンソース化を模索している。プロトコルからデータストレージシステム、サービス開発ツールなどの分野でオープンソースフレームワークを構築するほか、インダストリアルインターネットを手掛けるスタートアップ企業の起業を支援し、オープンなインダストリアルインターネットの一大エコシステムを築いていきたいとしている。
(翻訳・山口幸子)

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