ビッグデータ用い業務プロセス最適化、望繁信が20億円調達。中国ポルシェなど導入

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業務プロセスを可視化して改善するプロセスマイニングをサービスとして提供する「望繁信科技(PROTHENTIC)」がシリーズA+で1億元(約20億円)以上調達した。「B Capital」、「崑崙資本(KUNLUN Capital)」が共同で出資を主導し、「高瓴創投(GL Ventures)」なども参加した。望繁信の資金調達は4回目にして中国のプロセスマイニング企業で最高の調達額になった。

プロセスマイニングはデータマイニング、機械学習、業務プロセス管理などにまたがる新しい分野だ。企業の各ITシステムに保存されている情報やログ(履歴、記録)を収集、クレンジング(データの調整や整理)して企業の実際の業務プロセスを可視化する。DX(デジタルトランスフォーメーション)が潮流になる中、企業が第三者の視点に立ち、標準プロセスから乖離しているプロセスで生じた漏れ、バグ、ボトルネックなどの問題点を発見し、さらにモニタリングを継続して改善の方向性を定める支援をする。

2021年に設立された望繁信は、主要プロダクト「数字足跡(デジタルプットフリント)」を使って企業の業務プロセスの全体を可視化することで、問題を発見し、最適化するための支援をする。

同社のプロセスマイニングは、「業務プロセスの問題の把握」「原因の発見」「問題の解決」の3段階で進められる。

最初に企業のERP(企業資源計画)、CRM(顧客関係管理)、EMS(環境マネジメントシステム)、OA(オフィスオートメーション)、SRM(サプライヤー関係管理)などの業務システムにあるイベントログを取得し、実際の運営のプロセスモデルを図式化することで、プロセスの「全貌」を客観的に把握できるようにする。

図:数字足跡より

次に、標準から乖離しているプロセスを分析し、漏れ、バグ、ボトルネックなど異常を引き起こしている原因を可視化する。

図:数字足跡より

最後に、プロセスモデルおよび拡張性の高いデータの修復・修正を通して問題の根本的な原因を特定し、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を呼び出してRPA(業務自動化)あるいはローコード(最小限のコーディングで開発が可能な)プラットフォームと連携させて最適化を実行する。

望繁信の索強CEOは「プロセスマイニングは技術的に参入障壁が高い。望繁信の開発者は約70人で、毎年開発コストは3000万元(約6億円)を上回る」と話す。

他社との差別化と競争優位性について索CEOは「数字足跡は、自社開発のPQL(Process Query Language)を使用したSaaS型プロダクトだ。他社プロダクトはまだ顧客企業に合わせた大幅なカスタマイズが必要だが、デジタルフットプリントはカスタマイズ開発が不要でスピーディーにサービスを提供できる」と話す。

また、数字足跡は20億行レベルのプロセスデータの更新、アクセス、照会、操作の分析をリアルタイムで行う。プロセスの照会は、OLAP(オンライン分析処理)データベースや時系列データベースでは不可能だ。

望繁信の顧客は約20社で、ドイツ銀行、中国政府系コングロマリット「華潤集団(China Resources)」、ポルシェ中国、大手インターネット企業など主に小売り、ハイテク、製造、建設などの分野に集中している。

ある企業は、顧客からのクレーム対応業務に望繁信のプロダクトを導入し、1年後に平均処理時間が44.65日から4.88日に短縮し、プロセスパスが93から30に減少し、うち標準的なパスが実際のパスに占める割合が53%から84%に上昇した。

図:数字足跡より

望繁信は昨年9月にサービスを開始以降これまでに数千万元(数億円)を売り上げた。データ量を基に顧客ごとに料金を決定し、現在の顧客単価は30万~350万元(約600万~7000万円)だ。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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